Moncler(モンクレール)が、100%リサイクル素材を用いたスニーカー「RYEGRASS」を販売しているといいます。モンクレールは「環境保護の取り組みを象徴するモデルです」といいます。
WWD Japanによれば、アッパーにはリサイクルプラスチックが原料のフェイクレザーを、ラバーやシューレース、ライニングにもリサイクルプラスチックを原料とした素材を用いているといいます。コーティング剤はトウモロコシ由来で、ライナーはリサイクルコットンのパイル地で快適な履き心地にこだわっているといいます。
価格は59,400円、高いとの印象ですが、モンクレールの他のスニーカーと比べてみると、決してそうではなさそうです。最安値に近いというところなのでしょうか。
「環境保護の取り組みを象徴するモデル」というモンクレールの「サスティナビリティの本気度」を垣間見るような気がします。
従来のように「サスティナビリティ」を売りにするのなら、最高値のフラッグシップモデルとして販売するのも戦略なのでしょう。しかし、最安値に属する価格にもってきたというのであれば、やはり普及させようとの意志のあらわれなのでしょうか。
WWD Japanは、アッパーの素材をリサイクルプラスチックが原料のフェイクレザーと表現していますが、モンクレールのページにはポリエステル100%の表記、ライナーは100% 綿で、ソールは 100% 分類外繊維(ゴム)。どれもリサイクル材として入手が可能なものです。
アディダスが、スタンスミスのスニーカーに採用したのもリサイクルポリエステル、レザーと遜色ないルックスと質感を持っているといわれていました。こちらの価格は13,200円。
アディダスは2024年までに、バージンポリエステルの使用を一切禁止することを目標とし、最近ではこの他にもユニフォームなどでもリサイクルポリエステル素材のアイテムを多く販売するようになっています。
リサイクル材の価格も低下しているのでしょうか。
ここ最近では、こうした事例以外にもリサイクルポリエステル材を使用した製品が数多く見かけるようになってきました。扱い量が増えれば、価格が低下するのが経済の道理です。
今までは、環境やSDGsは「ラグジュアリー」なことと思われていましたが、先駆的なメーカによって、その概念が覆されつつあるのでしょうか。こうしたことが増えていけば、さらに参加者が増え、リサイクル材もバージン材価格に近づいていくのかもしれません。
自動車でいえば、スマートキー(電子キー)、一昔前までは高級車のみの装備だったのですが、今では多くのクルマで利用できるようになりました。それと同じように、これからはリサイクル素材がごく当たり前になっていくのかもしれません。
そんなことを感じさせてくれるモンクレールのスニーカーです。改めて「サスティナビリティの現在地」を確認したような気がします。