Up Cycle Circular’s diary

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【日本最大クラスの再エネ調達】あくまで再エネにこだわるアマゾンと何にでも手を出す三菱商事の提携

 

 Amazonが日本国内で、22 MW(メガワット)の 太陽光発電プロジェクトとPPA電力購入契約を締結したと発表した。Amazonが世界で進めている再生可能エネルギー調達活動の一環なのだろう。

 米Amazon.comが、2040年までのCO2排出「実質ゼロ」目標を掲げ、2030年までにAmazonが使用するすべての電力を再生可能エネルギーで賄えるようにすると発表し、その後、その目標を5年前倒し2025年までに達成すると改めた。

www.aboutamazon.jp

  その目標のため、世界各地で230以上の風力や太陽光プロジェクトが展開され、その合計容量は10GW(ギガワット)を超え、今やAmazonは、世界最大の再生可能エネルギーの調達企業になっている。

 

 

 ようやくと日本にも順番が回ってきたということなのだろうか。今回、Amazonと契約を締結したのは三菱商事

 アマゾンジャパンによれば、三菱商事の電力小売事業子会社である、MCリテールエナジーが運用する集約型太陽光発電プロジェクトは、首都圏と東北地方で、450ヶ所以上の地上設置型の太陽光発電設備を開発中で、2022~2023 年にかけて順次稼働する予定だという。

aws.amazon.com

 このすべての設備が稼働すると、プロジェクト全体で年間 23,000 メガワット時 (MWh) の再生可能エネルギーを生成できるようになり、日本の一般家庭 5,600 世帯分以上の電力に相当するそうだ。

 今回の契約は、コーポレートPPAを活用した集約型太陽光発電プロジェクトとしては日本初で最大のものとなり、再生可能エネルギーの利用拡大に大きな道筋をつけることになるとアマゾンは説明する。

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(写真:Amazon

 AWS アマゾン ウェブ サービスのエネルギー戦略 ディレクターのナット・サルストロム 氏は、「アジア太平洋地域では、企業が再生可能エネルギーを調達する際に、利用可能なエネルギーが限られていたり、規制が複雑であったり、コストが高いなどの問題に直面することがある」と指摘する。

日本で初のコーポレートPPAとして、現在の送電網で利用可能な容量に新たな容量を追加にすることで、日本における再生可能エネルギーの活用を広げ、価格の適正化を促進します

私たちAmazonは、アジア太平洋地域の企業にとって再生可能エネルギーの調達方法を拡大できるように、地域の民間および公共のパートナーと協力していきます。(出所:アマゾンジャパン)

 アマゾンらしいコメントなのかもしれない。

 ほんとうはもっと環境にやさしい発電所を積極的に選んで欲しかったとの思いもあるが、あまり欲を出しても仕方がないのだろう。それよりは、他の企業もアマゾンと同様にコーポレートPPAを活用、真に再生可能エネルギー価格の適正化を進めて欲しい。

 

 

 アマゾンのパートナーである三菱商事は同日、Shell Canada(シェル・カナダ)と、CCSを活用した水素製造に係る覚書を締結したと発表した。

 三菱商事によれば、第一フェーズでは、2020年代後半に、年間約16万5千トンの水素を製造し、輸送効率の良いアンモニアに転換後、日本市場へ輸出することを目指すという。

 水素の製造過程で発生する二酸化炭素は、シェルが開発中のポラリスCCSプロジェクトにて地下貯留するという。このポラリスCCSプロジェクトでは、年間1千万トン以上の二酸化炭素を貯留する計画だという。

www.mitsubishicorp.com

 二酸化炭素を排出する工法がどうも好きになれない。まして、それを地中に貯留してよいのだろうか。もう既に、SBTiなどの一部機関がCCSに異議を唱え始めている。物議を醸しだすことが好きな会社なのかと勘ぐってしまう。

dsupplying.hatenablog.com

三菱小史

 三菱の創業者岩崎弥太郎は、海運一本やりで、三菱を大きく成長させ、炭鉱などの鉱業には積極的ではなく、博打と同じと考えていたようで、堅気の商売人が手を出すものではないとし、非常に神経質になっていたという。

 その路線が転換されたのは、二代目弥之助ときである。弥太郎が精根をこめ育てた海運だったが、熾烈な競争に巻き込まれ、弥太郎の死後、弥之助は海運を切り離すしかなくなる(これが今日の日本郵船のはじまり)。そのとき三菱に残ったのはわずかばかりの炭鉱と鉱山だった。

 弥之助はこれに積極的に投資するようになり、それが後の三菱財閥の礎になっていく。

 三菱の資源開発には長い歴史があるのかもしれないが、もうそろそろ創業者弥太郎の精神をとり戻してもよい時期ではなかろうか。

 今、二酸化炭素の排出を伴う資源開発が博打のようになってはいないだろうか。