Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【過ぎゆく記録ずくめの夏】意識する異常気象と温暖化、企業は気候変動を止めることはできるのか

 

 今年もまた記録的な大雨になり、西日本を中心に被害が発生した。ただ今年は、例年のような短時間の猛烈な雨や非常に激しい雨ではなく、雨が長期間にわたって降り続く「長雨」だった。雨が降り始めてからの累積の雨量が、平年の年間降水量の半分前後に達するなど驚くような現象が確認された。広島市では平年の8月1か月分の4倍を超え、結果的に記録的な豪雨となり、川の氾濫や土砂災害になったという。

 これも温暖化により大気中の水蒸気の量が増え、降水量が増えた可能性があると気象庁は指摘、今回の一連の大雨を「異常気象といえる」としたという。

 

 

 8月の大雨による被害を受けた九州北部の大豆産地では、多くの大豆が枯死したという。

大雨被害で産地に徒労感 「大豆」収入なし、「麦」の追加経費重く 九州北部 / 日本農業新聞

大豆が枯れた畑には早くも青々とした雑草が芽吹く。11月には麦の播種を控え、雑草が伸びないよう畑を維持しなければならない。 (出所:日本農業新聞

 農業の被害も深刻なようだ。それでも農業保険の認定はばらばらだという。

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 農水省が毎年、「地球温暖化影響調査レポート」をまとめている。都道府県の協力を得て、地球温暖化の影響と考えられる農業生産現場における高温障害等の影響、その適応策等について報告のあった内容を取りまとめたもので、平成19年より取り組みが始まったという。

地球温暖化対策:農林水産省

 先日、農水省が公表した「地球温暖化影響調査レポート」は昨年令和2年を対象としたもので、昨年の気候が、「気温の高い状態が続き、年平均気温は全国的にかなり高かった。 全国的に暖冬で、東・西日本で記録的な高温、日本海側で記録的な少雪となった」と指摘、「令和2年7月豪雨」など7月は東・西日本で記録的な大雨と日照不足となったという。また、作物別の被害状況をまとめ、適応策の事例を紹介する。また、畜産においては、高温による乳量・乳成分の低下や斃死(へいし:動物が突然死ぬこと)が発生した事実を報告する。

 先々の食糧事情を少しばかり憂慮する。異常気象による農業被害もそうだが、農家のモチベーションも心配になる。

 

 

 明治安田生命保険が気候変動に関わる国際NGOなどが取り組む2つの投資家ネットワークに参画するという。

 日本経済新聞によれば、他の機関投資家と協力し、投融資先の温暖化ガスの排出量などに関する情報開示に取り組み、排出量の多い企業には共同で削減も呼びかけるという。ESG(環境・社会・企業統治)の投融資の効果を高め、既存の投融資先の企業の環境保全に向けた取り組みも促す狙いがあるという。

 明治安田生命保険が署名、参加するのは、気候変動問題の解決を進める国際NGO「CDP」と、国際的な投資家エンゲージメントイニシアティブの「Climate Action 100+」。

「CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト) 」は、世界の主要な機関投資家と連携して、企業の気候変動への対応にかかる戦略(リスク・機会)や温室効果ガス排出量に関する開示等を求める活動を展開する。約 600 の投資家が参加し、参加投資家の運用資産総額は約 110 兆米ドルに及ぶという。

 危機下にあって、こうした国際NGOなどの活動が注目される。従来とは異なり、気候変動などの視点から、企業と投資家を橋渡しし、気候変動の抑制に努めようとしていると言っていいのかもしれない。営利を目的としない、コンサルティングファームのような存在なのだろうか。気候危機下にあって問題となる基準を明らかにし、現況を開示させたうえで、その改善を求めるということだろうか。

 

 

 一方、本家コンサルティングファームSDGsやESGを無視することができなくなっているようだ。

 デロイトトーマツコンサルティングの代表執行役社長の佐瀬真人氏に、IT Mediaビジネスオンラインがインタビューする。

コンサルティングファームだからこそできる解決策は「経済合理性のリ・デザイン」だと考えています。

企業も消費者も経済合理性によって動くことを現実と捉え、そもそも取り巻く社会や経済ルールそのものを変えてしまおうというものです。(出所:IT Mediaビジネスオンライン)

 正論なのだろうけど、今まで「経済合理性」をもとにしてきた結果が、SDGsやESGが必要となる社会になったのではないだろうか。そして、それをリードしてきたのが、コンサルティングファームだったのではないだろうか。それを反省して「経済合理性のリ・デザイン」といっているのだろうか。そうみてしまうのは、穿った見方なのだろうか。

SDGsが経営にメリットをもたらす、これだけの理由 デロイトトーマツコンサルティング佐瀬社長に聞いた:採用活動にも直結(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

同社はSDGsという言葉が流行する前から貧困問題や環境問題に向き合ってきた当事者であり、新たな企業スローガンとして「Lead the way」を掲げ、「日本から、より良い明日を創るために、進むべき未踏の道を指し示す―」存在であり続けたいと語っている。話を聞くと、SDGsが経営にもたらすメリットが見えてきた― (出所:IT Mediaビジネスオンライン)

 コンサルティングファームが手のひらを反すように、新たなスローガンを掲げて、自分たちに都合よく、「SDGs」や「ESG」を語る。

 歪んだ社会の一翼に担ってきたからこそ、その課題と原因を一番良く知っているのかもしれない。