国連総会が始まり、気候変動が主要な議題となっているようです。
「今後は、海外で石炭火力発電所を新設しない」と、中国の習近平主席が明言したといいます。驚きです。変われば変わるものです。
習主席 国連総会一般討論で演説「中国が覇を唱えることはない」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
真意は定かではないですが、その方向に向かうということは歓迎されるべきではないでしょうか。
安保理では「気候変動による安全保障へのリスク」がテーマにあがったといいます。それだけ、様々なところで状況が深刻化してきたということなのでしょう。
欧州では、ECB欧州中央銀行が、ユーロ圏経済への気候変動の影響を分析する調査結果を公表したといいます。
気候変動、金融機関に深刻な影響 ECBが調査結果公表: 日本経済新聞
「気候ストレステスト」と名付けられた調査では、世界の400万社以上、1600のユーロ圏の銀行への気候変動の影響を3つのシナリオに沿って分析したそうです。
気候変動には自然災害の頻度や規模が拡大することによる物理的なリスクと、温暖化対策を進めるためのコストが膨らむ移行リスクがあるといいます。
日本経済新聞によれば、対策をしなければ移行に伴うコストはほとんどないが、物理的なコストが大きく膨らむといいます。計画的に移行を進めていくことが、コストを最小にとどめるとECBは結論づけたそうです。
欧州の銀行は温暖化対策をしなければ、不良債権処理損失が自然災害の増加によって大きく膨らむことになる。2050年には計画的に移行を進めた場合に比べて、債務不履行の発生確率が8%も高まるという。(出所:日本経済新聞)
こうしたことでまたESG投資が加速し、銀行の融資にも変化が起きるのでしょうか。
ベンチャーキャピタルの投資先にも変化が現れているのでしょうか。これまでなら、AI、自動運転などいわゆるテクノロジーと称されるソフト分野への投資が主流だったように思いますが、ここ最近では気候変動対策関連技術への投資も目立ちます。
「気候テック」「バイオインフォマティクス」「分散型のインターネット」 、これらが今注目すべき対象だと、ベンチャーキャピタルのCoral Capitalはいいます。
気候テック、バイオ、分散型ネットがカンブリア爆発期に入ろうとしているワケ | Coral Capital
「Climate Tech(気候テック)」と言う新しい呼び名のもと、クリーンテックのブームが再燃していると、Coralはいいます。
人類史上最大とも言える課題と指摘、ロボティックスやIoT、エネルギー、材料工学、AIなどをはじめとした多くの分野に対して、この先数年で多額の投資が必要になるといいます。
「バイオインフォマティクス」、ソフトウェアとバイオの融合のことをいうそうです。
mRNAワクチンを事例に、Coralは説明します。
モデルナ社は、なんとウイルスの遺伝子情報を解析してから48時間もたたないうちに、ワクチンの完成バージョンの設計にまでたどりついています。
しかも、実際のサンプルを入手する前に、ウイルスのデジタルコピーだけを使って完全にコンピューター上で完成させたというのです。 (出所:Coral Capital)
VCが、こうした分野が注目するのは善い流れではないでしょうか。ただソフトを強調することには多少抵抗感を覚えます。そこに競争力や差別化の源泉を求めることはわかりますが、まずは気候危機を回避するためのテクノロジー開発とその社会実装、そして、その収益化にもっと力を注ぐべきです。
必要なテクノロジー開発を効率的にしてくれたり、その社会実装を効率的にしてくれるのがソフトの力のはずです。ソフトが今ある問題をひとりでに解決してくれるわけではありません。今求められていることは、有効な解決策を早期に実用化できるかといことではないでしょうか。それを見極められる目が求められているように思います。
資金は確実に「気候変動」関連に向かい始めているようです。生活に身近なところで、それが体現できるようなモノ、サービスが登場して欲しいものです。