Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

エネルギー価格上昇に、供給網の問題、景気減速と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」なのか

 

 足元の経済が少し心配になります。昨日6日の日経平均株価は8営業日連続で下落し、円安に国債安のトリプル安になったといいます。

世界の物価上昇、秋にピーク 来年半ばにコロナ禍前水準に | ロイター

 IMF国際通貨基金が、世界経済見通しの一部を公表し、消費者物価の上昇が今秋にピークに達し、2022年半ばまでにコロナ禍前の水準に緩和するという見通しを示したといいます。それと同時に、供給不足に伴う物価上昇がより長期間持続し、インフレ期待を不安定化させるリスクが存在すると指摘したそうです。

先進国では秋に物価上昇率が3.6%に高まった後、来年中ばまでに2%近辺まで、新興国および途上国では6.8%に達した後、約4%にそれぞれ低下すると予想した。 (出所:ロイター)

 今まで日本経済は世界から切り離されていたかのように、物価上昇から無縁でしたが、こうした流れに巻き込まれることになるのでしょうか。コロナ渦からの回復期なだけに少々気になります。

 

 

 IMFのゲオルギエワ専務理事が講演で、アメリカや中国の景気回復が減速していると指摘、今年の世界経済全体の成長率の見通しをプラス6%から下方修正すると明らかにしたそうです。

「多くの国でインフレ率が急速に上昇している。世界の食料価格はこの1年で30%以上値上がりし、エネルギー価格の上昇も合わさって、貧困家庭の負担が重くなっている」と述べ、世界的な物価上昇に警鐘を鳴らしました。 (出所:NHK

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 NHKによれば、金融市場などでは、物価の急上昇について新型コロナの影響に伴う供給網の混乱がおさまれば次第に落ち着くという見方がある一方、景気の減速と物価の上昇が同時に進む「スタグフレーションの前兆ではないかという指摘も出ていて、物価上昇が長期化することへの警戒感が強まっているといいます。

今の時代のスタグフレーション

「これは世界的な問題だ」

 企業は「非常に複雑な供給網」の先行きがほとんど見えず、混乱は予想より大幅に長引く可能性があると指摘する。供給網の問題がさらに6~12カ月続くと同時に、雇用の安定が続くなかで消費者が欲しいものにお金を出そうとするなら、「スタグフレーションの微臭が悪臭のようになっていくかもしれない」という。 (出所:日本経済新聞

新型コロナ: [FT]混乱する供給網 近づくスタグフレーション: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、米連邦準備理事会(FRB)と英イングランド銀行が先週、早期利上げの可能性を示唆したことで、ここ1週間半の債券相場の大きな下落に拍車がかかったといいます。しかし、年初の「リフレーション」トレードとは異なり、金融の引き締めに成長の加速が伴うとみる株高にはつながっていないそうです。

 エコノミストや投資家の予想などあてにならないかもしれませんが、懸念はあるのでしょう。

 世界が標榜したはずの「サスティナビリティ」の精神を取り戻し、消費が抑制されば、それで経済が安定するということないのでしょうか。

 

 

 明日、新首相が所信表明するそうです。新型コロナウイルスと共生する社会に変革し、「新しい資本主義」を実現する決意を表明するといいます。

コロナ共生社会へ変革、岸田首相 国民と対話も、所信表明原案判明 | 共同通信

 NHKによれば、「新型コロナという国難を国民と共に乗り越え、新しい時代を切り拓き、心豊かな日本を次世代に引き継ぐために全身全霊を捧げる」とし、「成長と分配の好循環」と、新型コロナとの共生が前提の新しい社会の開拓などにより、「新しい資本主義」を実現するとしているそうです。

 わかりやすく理解はでき、論理もありそうですが、新型コロナという一過性のものが、動機でいいのでしょうか。新型コロナが国難ではないという気はありませんが、地球温暖化の問題はもっと長くつきあわなければなりません。仮に新しい資本主義を目指すなら、長期の課題である気候変動やSDGs原発事故からの回復が起点になるのではないでしょうか。古い資本主義の問題はそういうところにあったのではないでしょうか。

 信念なのかもしれませんが、少々独善的に聞こえてしまいます。