Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

日本のサステナブルはそんなにダメなのか、鹿児島サーキュラーヴィレッジ大崎町の取り組み

 

 「天然資源の利用を最小限に」、「ごみという概念をなくすために資源化」、そんなことができれば、地球温暖化の抑制にも役立ち、サステナブルな世界に近づくのではないか、人それぞれに何かしらの動機があって、何か行動を起こしたりするのだろう。

 こうしたことにおいては、これが正解というような絶対的な定義はないのではなかろうか。そうであるなら、色々な取り組みがあってもよさそうものだ。

 しかし、なぜかいつも「日本の取り組みは.....」と卑下することが多くなる。

サステイナブルの本場オランダから残念な日本企業への提言

カーボンニュートラルな社会への転換が世界の共通課題となり、日本企業も転換を迫られている。すでに取り組みをはじめている企業も少なくないが、残念ながら「変革」よりも「対応」の色合いが濃く、「SDGsウォッシュ」と揶揄されることも多い。 (出所:NEWSPICKS)

 いささか聞き飽きたような気もする。本当にそうなのだろうか。確かに、ウォッシュと思われるケースも散見するが、それでも何かしらの貢献はあるのではなかろうか。

 

 

 鹿児島県の大隅半島に人口13,000人ほどの自治体、大崎町がある。そこでは、1998年からリサイクル活動を始めたという。その理由は、焼却処理場を持たず、出たごみは全て埋め立てにより最終処分をしていたことによる。

 1990年から始まった埋立処分場が、当初計画していたよりも多くのごみにより、予定されていた計画期間を待たずして埋立処分場が満杯になる恐れが出てきた。このことがきっかけで、大崎町では新たなごみの処分方法の検討をすることになったという。そして、選択したのが、ごみの減量化による既存の埋立処分場の延命化だったという。

1998年、ごみの分別・回収の取り組みは資源ごみ(缶・ビン・PET)の三品目からスタートします。その後徐々に分別品目を増やし、2001年から試験的に生ごみの回収を開始、2002年には民間の有機物堆肥化工場が稼働を開始し、2004年には有機物(生ごみ・草木)の埋め立てが全面禁止となります。そして、その後も細かい変更を重ね、現在では27品目に分別され回収されています。その結果、1998年と比較し2017年には約84パーセントの埋め立てごみを削減しています。(参考:大崎町)

osakini.org

 大崎町にあるリサイクルセンターでも、流行りのアップサイクルが取り入れられれば、もう少し注目度があがるのかもしれない。それでも、一時は、あと数年で満杯になると言われていた埋立処分場が今後50年は供用可能になったという。

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(資料:大崎町)

 そればかりでなく、分別回収されたごみはリサイクルされる際に再生可能な資源として業者に売却されることで、大崎町にはおよそ760万円の売却益をもたらし、町の事業に活用されているという(平成28年度)。

 不完全かもしれないが、立派なサーキュラーエコノミーなのではなかろうか。

 

 

 大崎町での経験はインドネシアでの廃棄物の減量化にも活かされているという。そして、現在ではインドネシアでの先駆けになったデポック市、バリ州に加えて人口1千万人に迫るジャカルタ州でも大崎町のリサイクルシステムの導入に関して、実証の取り組みが行われているそうだ。

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(資料:大崎町)

 大崎町は8月、Yahooの地域カーボンニュートラル促進プロジェクトにおいて、企業版ふるさと納税の寄附先に選定されたとそうだ。

Yahoo! JAPANによる本町への企業版ふるさと納税について|鹿児島県大崎町

 大崎町はこの寄附を活用し、「大崎システム」のCO2削減量の数値化及び他地域への展開可能なプログラム開発を行い、脱炭素化の促進を目指すという。そして、カーボンニュートラルを含むサーキュラーエコノミーの実現を通じて、大崎町民のより快適な暮らしの実現を目指し、また、今までになかった循環型社会を担う仕事や雇用を生み出すことを目的にしている。

 国内のこうした活動にもっと注目が集まってもいいのかもしれない。