Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱プラ】燃やされるプラ、世界のリサイクルの実態、減らない二酸化炭素

 

「世界はもっとサスティナブルであるべきだ」と、早くから知っていたにもかかわらず、これまでほったらかしてきたと言っても、そんなに過言なことではないのだろう。自分自身もそうなのだから、強く批判できることではないが。

 1997年 京都で開催されたCOP3 第3回 国連気候変動枠組条約締約国会議で「京都議定書」が採択され、世界の国々が温室効果ガスの排出量削減を義務られた。

「そうなんだ」と当時はその程度の理解だった。所々規制強化はあったのかもしれないが、この問題の深刻さを理解していなかった。気づくのが遅いと言われても仕方がない。

 京都から24年が経過したというのに、未だに気候変動の危機は去らず、その激しさが増している。

 

 

減らないプラごみ、燃やされ、進まないリサイクル

 ただ、数あるグローバル企業の中には早くから「サステナブル」に取り組む会社もあった。ユニリーバコカ・コーラネスレなどなど。

 早くからプラスチックス問題が指摘され、その改善が求められていた。批判はあったものの、こうした企業たちは、サーキュラーがエコノミーを推奨していた。

 脱プラに向け一歩進めることも重要であろうと、その動きに注目した。それらが継続的に進めば、いずれ問題解決につながるのではないかと淡い期待を抱いたものだが、やはり行き詰ることもあるのだろうか、気になる批判がある。

Big brands stoke cement kilns with plastic waste as recycling falters

「大手ブランドは、リサイクル遅滞させ、プラスチック廃棄物をセメント製造のための燃料に使用している」と題した、ロイターの記事だ。

消費財大手は、プラスチックスごみをセメント工場に送り、そこで安価なエネルギーとして燃やすプロジェクトに資金を提供している。

彼らは、プラスチックス廃棄物をゴミ捨て場に入れず、化石燃料の使用量を減らす方法にそれを利用している。

批評家は、それがリサイクルの努力を弱め、大気を悪化させると言います。ある人は、「埋め立て地を地面から空に移動するようなものだ」と述べた。

 ロイターが指摘する消費財メーカー大手とは「ユニリーバ」のことだ。

 インドネシアにあるアジア最大のゴミ捨て場の1つで、この地域にある埋立地から、プラスチックスを掘り起こし、それらをRDF 廃棄物固形燃料に加工し、ジャカルタの郊外にあるSBIセメント工場で燃料として使用されているという。そして、この事業に資金を提供しているのがユニリーバという。

 これが目指した「サーキュラーエコノミー」ということなのだろうか。

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 かつて日本でも批判されたRDFが、インドネシアでも使用されるようになったということであろうか。

 ロイターによれば、プラスチックスは石炭よりも二酸化炭素排出量は少ないが、セメント産業で使用される天然ガスよりも排出量が多いという。石炭より少ないといえども、結局二酸化炭素は排出する。一時しのぎの利用はあってもいいのかもしれないが、やはり根本対策が求められる。RDF化を根本対策にするのであれば、それは筋違いと言わざるを得ない。

 

 

花王が進める水平リサイクル

 日本では、花王がワンウェイプラスチックの水平リサイクルの実現に向け、資源循環型モデルの実証実験を継続、その進捗結果を公表した。

花王 | ワンウェイプラスチックの水平リサイクルに向けた資源循環型モデル事業 実証実験の進捗について

 詰め替えパックを単一素材に変え、その水平リサイクルを目指すが、そうは簡単に実現できないようである。

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(資料:花王

●つめかえパックの安定した連続生産に向けて、生産工程に改善が必要

●単一素材のつめかえパックを店頭で提供するためには、より長期間中身を保護する機能が求められる。さらなる材料や容器における技術開発が必要

●各工程での課題を抽出したうえで、回収したつめかえパックのボトル容器への再生に向けた研究開発を継続 (出所:花王

プラスチックス資源循環の最重要課題は、CO2削減と経済性の両立であり、そのためには、安価で無駄のない分別回収システムの開発、プラスチック包装容器の精密な選別手法の開発、環境配慮型容器設計の標準化などが必要」と花王は指摘する。

 それでも花王は、競合のライオンと協働し、使用済み詰め替えフィルム容器のリサイクルの実証実験を拡大させ、ウエルシア薬局にも回収ボックスを設置するという。

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(写真:花王

 リサイクルできずに燃焼に回ったり、埋立られるのであれば、こうした活動を拡大させていく必要があるのだろう。ユニリーバも同様な取り組みを進めているのだろうか。もしかしたら、業界全体が垣根をはらい一致して、グローバルに協働していく必要があるのかもしれない。

間近に迫るCOP26

 今回の「COP26」は注目度が高いといわれる。二酸化炭素など温室効果ガスの排出減につなげていかなければならないはずなのに、未だ減少傾向を維持できず、2010年に比べて16%増加することが見込まれているという。

【詳しく】地球温暖化を食い止められるか COP26の注目点は? | COP26 | NHKニュース

 COP26開催を前にNHKが、東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授にインタビューする。

残念ながら気候変動が寄与している気象災害や気候の変化は生まれてきており、気候変動の影響はどうやら早く、非常に近未来にででくるかもしれないとふだんの暮らしのなかでも感じるようになってきました。私たちの命と暮らしを守るという観点から、COP26でしっかりとした目標や制度が合意されるかどうか、ぜひ注目してほしい。 (出所:NHK

 企業の協業ばかりでなく、国どうしも同様に協力、協働することが求められているのだろう。