小笠原諸島にある海底火山「福徳岡ノ場」が8月に噴火、噴煙の高さが少なくとも16kmまで上がる戦後最大級ものだったという。
この噴火で大量の軽石が発生し、2か月にわたり洋上を漂流、その後、1400km離れた沖縄に漂着したとニュースになった。
軽石の軌跡
JAXA 宇宙航空研究開発機構が、海上を漂流するこの軽石を衛星「しきさい」で観測し、その動きをインターネットで公開し始めた。
沖縄本島に接近・漂着している軽石の衛星観測情報 – JAXA 第一宇宙技術部門 Earth-graphy
火山活動によって噴出した、いわば天然の軽石が、船舶航行や漁業など人間活動に影響を及ぼしている。そして今、海岸に漂着した軽石を人手で除去作業しているという。
一夜にして消えた軽石
一方、沖縄県大宜味村の海岸や本部町の新里漁港で、海面を覆っていた軽石が29日朝にはなくなったことが確認されたという。また、国頭村の辺土名漁港の一部区域でも同様の現象が確認されているそうだ。
思わず『えっ』と声が出た 一晩で軽石が消えた? 沖縄・大宜味村 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
沖縄タイムス+プラスによると、目撃者らは「風向きや潮の流れの影響で流されているのではないか」と話しているそうだ。
自然のダイナミズムを感じるとともに、畏敬の念を抱く。
太平洋の「ごみの渦」
太平洋には「Great Pacific garbage patch(太平洋ごみベルト)」と呼ばれる「ごみの渦」があるという。
およそ西経135度から155度、北緯35度から42度の範囲にかけての北太平洋の中央部の海洋ごみが多い海域を指すそうだ。ウィキペディアによれば、浮遊プラスチック等が北太平洋循環の海流等の影響により、特にこの海域に集中するという。
この海域で、海洋ごみの清掃活動を続ける「The Ocean Cleanup(ザ・オーシャンクリーンアップ)というグループがある。
システム002「ジェニー」という装置を使って、この2か月半の間に、約290,299kgの海洋プラスチックスごみを収集、それらをリサイクルするために持ち帰ったそうだ。
海洋ごみをリサイクルするために
「トイレの便座は、太平洋ゴミベルトでは非常に一般的です」と、この組織の創設者であるボイヤン・スラット氏が記者会見で述べたという。
回収されたごみの中には、その他にも冷蔵庫やマネキンが見つかっている。ただ回収された海洋ごみの95%はリサイクルできると見込んでいるそうだ。
オーシャンクリーンアップは、消費者ブランドなどと提携して、この先、これらごみをリサイクル製品に変えることを望んでいるという。
消えることのない海洋プラ
太平洋ごみベルトには9,900万キログラムもの膨大な海洋プラスチックスが存在すると予想されている。
オーシャンクリーンアップが、この先5年間でこの海域の50%をクリーンアップするには、さらに10隻程度のジェニーと同様のシステムの配備が必要になるそうだ。
世界の多くの海洋プラスチックスが河川から流出しているといわれる。その約80%はアジアの河川由来だそうだ。太平洋湾岸のフィリピンもその国のひとつで、その3分の1を占めているという。
This company is turning plastic waste into building materials | World Economic Forum
そのフィリピンで、「プラスチックフラミンゴ」というリサイクル業者のグループは、川から海洋に流出することを防止するため、プラごみを建築材料に変えるアップサイクルを行っているという。
プラスチックスはどう処分すべきなのか
コロナ渦による巣ごもり需要などにより、どの国においてもプラスチックスの急増が起こっているそうだ。ただ「人々はこれらプラスチックスをどう処分するのかを知らない」と世界経済フォーラムは指摘する。
燃やすか、埋めてるか、リサイクルするか、はたまた再利用するか、そんな選択肢があるのだろう。しかし、各国共通の処分方法は確立されていない。それがまた、プラごみの海洋流出を助長しているのかもしれない。
プラスチックスを減らし、海に流れ出るごみを減らさなけばならない。
そうしなければ、いつまでも海洋の清掃作業が続けばならないのだろう。
「関連文書」
「参考文書」
軽石漂流、衛星画像公開 広い海域を日々監視―JAXA:時事ドットコム
Ocean plastic-trapping device caught 290,299kg of trash - including a fridge, and toilet seats
the plastic flamingo cleans, shreds + turns ocean plastic waste into construction planks