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【COP26】活発な動きに食い違う主張、いよいよ始まる閣僚級会合、日本の閣僚参加はあるのか

 

 英国グラスゴーで開催されている「COP26」国連気候変動枠組み条約締約国会議に合わせ様々な報告がなされ、また、その会合の中でも外でも様々な動きがある。

増え続ける温室効果ガス

 国連気候変動枠組み条約事務局が、2030年の排出量は10年比13.7%増えるという新たな分析結果を発表した。中国や日本など14カ国の削減目標を新たに反映して更新したそうだ。世界各国が提出した温暖化ガス排出削減目標が全て達成されても、温室効果ガスは増え続けるという。

 

 

石炭火力発電所を減らす途上国も

 インドやインドネシア、フィリピン、南アフリカが、世界銀行グループの気候投資基金の石炭火力からクリーンエネルギーへの移行を加速する「石炭移行加速」プログラムに参加すると表明したという。

インドやインドネシア、脱石炭プログラムに参加=気候投資基金 | ロイター

 このプログラムは主要7カ国(G7)の支持を得ており、米国、英国、ドイツ、カナダ、デンマークが資金支援を行うという。

 ロイターによると、インドネシアのアリフィン・エネルギー・鉱物資源相は、石炭火力発電所を減らし、再生可能エネルギーへの移行を進めると表明したそうだ。

 日本政府はアジア全体のゼロエミッション化を推進するとして、「化石火力をアンモニア・水素などのゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する」と表明したが、この動きとミスマッチしていないだろうか。事前に相手国のニーズは確認したのだろうか。

食い違う主張

 一方、COP26で100カ国以上が署名した、「2030年までに森林破壊を終わらせるとする共同声明」について、インドネシアが批判しているという。

【COP26】 インドネシア、森林破壊の終了合意を「不公平」と批判 - BBCニュース

インドネシアのシティ・ヌルバヤ・バカール環境相は3日、「できないことについての約束」はできないと発言。インドネシアに対して2030年までに森林破壊をゼロにするよう強いるのは、「明らかに不適切で不公平だ」と反発した。(出所:BBC

 共同声明にはインドネシアジョコ・ウィドド大統領も署名した。しかし環境相は、同国にとって開発は最優先事項だとし、声明の内容を守らない可能性も示唆したそうだ。

 朝日新聞によると、インドネシアでは20年だけで約27万ヘクタールの原生林が消失、パーム油の原料となるアブラヤシ農園の建設などが要因という。

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 そのパーム油は食用や日用品ばかりでなく、バイオディーゼル燃料の原料にも活用されている。そして、ヤシ殻はバイオマス発電の燃料として日本でも利用されている。

日本で続く森林破壊

 熊本県南関町で南関ソーラーファームが進める大規模太陽光発電所の建設現場で8月、大雨によって大量の土砂が農地や河川に流出したと熊本日日新聞が報じる。

 

 

太陽光発電「令和の公害」 温暖化防止の大義で里山無残 土砂流出、住民トラブル… 法規制なく専門家警鐘 熊本 | 熊本日日新聞社

2050年の脱炭素化達成に向け、政府は再生可能エネルギー導入を「最優先」に掲げるが、各地の太陽光発電施設では土砂災害や住民とのトラブルが発生。地球温暖化の防止という大義の裏で、ホタルが住む清流や里山が切り開かれる矛盾も。専門家は「令和の公害」と断じ、法整備を求めている。(出所:熊本日日新聞

 COP26の場で、日本政府は「森林破壊を終わらせるとする共同声明」に署名したというが、こうした問題にどう対処していくのだろうか。

日本の大手企業もCOPの場でアピール開始

 東京大学グローバル・コモンズ・センター(CGC)が、産学協創プラットフォーム「ETI-CGC(Energy Transition Initiative-Center for Global Commons)」を立ち上げたと発表した。

 日本が今世紀半ばまでに脱炭素を達成するための経路と政策を企業と共に議論する場だという。

「脱炭素社会」実現へ 日本の大手企業経営者ら グループ設立 | 脱炭素社会への動き | NHKニュース

このグループは、再生可能エネルギーのコストをどこまで削減できるかや、二酸化炭素を吸収・貯留する技術を確立できる時期などについて科学的に分析し、2050年の「脱炭素社会」に向けた日本にとって最適なシナリオを示すとしています。(出所:NHK

 NHKによれば、COP26の会場でセミナーが開かれ、各国の研究者などが見守る中でこの設立が発表されたそうだ。

 

 

閣僚級会合

  気候危機を回避しようと、世界各国が、そして企業が様々な議論を展開している。もっと早くこの危機を共有できていたなら、今ある世界は違っていたのかもしれない。

 いよいよ閣僚級会合も始まるという。交渉が本格化し、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることを参加国が一致して目指せるか、それが焦点になるそうだ。

 日本政府の山口環境相は「国会など諸般の事情が許せば私自身も現地で交渉に当たりたい」と、経団連との意見交換の場で述べたという。そんなことでいいのだろうか。逃げずに参加すべきではないだろうか。

 COP26について、若者らの行動を含め様々な意見が出始めているようだ。