Up Cycle Circular’s diary

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【COP26閉幕】石炭の段階的削減は漸進なのか、涙あり、失望ありの全会一致の成果文書

 

 COP26が、成果文書「グラスゴー気候協定」を採択して閉幕しました。

 世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑える努力を追求し、石炭火力発電を「段階的削減」するなどの表現に合意したといいます。

【COP26】 新しい気候合意採択、石炭の使用削減に言及 - BBCニュース

 BBCによれば、石炭の使用削減について、気候関連の合意文書が言明するのは初めてだそうです。また、気候変動の被害を特に受ける途上国への資金援助を増やすことにも合意しました。

 ただ議長国イギリスが最終合意案を示した最後の全体会議でインド代表がこれに反対したといいます。

「まだ開発目標や飢餓削減に取り組まなくてはならない」発展途上国が、石炭使用や化石燃料への助成金を段階的に廃止すると約束するなどできないと主張した。(出所:BBC

 COPは全体一致を原則にするといいます。このため、各国は最終的に「段階的廃止」ではなく「段階的削減」という表現で合意したそうです。

 

 

大気汚染が深刻なインド

 そのインドでは、ひどい大気汚染のため、首都ニューデリーでは1週間の学校閉鎖を決めたといいます。AFPによると、健康に有害なスモッグから市民を守るため、「ロックダウン(都市封鎖)」の導入も検討するそうです。

インド首都、大気汚染で学校閉鎖 「ロックダウン」も検討 写真9枚 国際ニュース:AFPBB News

人口約2000万人のニューデリーは世界で最も大気汚染が深刻な都市の一つ。

特に冬季は、工場のばい煙や車の排ガス、焼き畑の煙などが上空に分厚く垂れ込める。 (出所:AFP BB NEWS)

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 もしかして、COP26に参加したインド代表団も石炭火力の廃止やEVシフトの必要性を人指摘しているのかもしれません。しかし、それより優先すべき事項があるということなのでしょうか。問題の根深さと複雑さを感じます。

 私たちはこの問題に無関心でいいのでしょうか。

 大気に国境はなく、どこかで大量に温室効果ガスが排出されれば、現実の国境に関わりなく、その影響は拡がってくるのかもしれません。自国の対策ばかりを気にかけるだけでは不十分なのではないでしょうか。

 

 

石炭時代の終わりの始まりになるのか

 水没の危機にある太平洋の島国ツバルのパエニウ財務相は、涙ながらに各国代表団に「ツバルは文字通り沈んでいる。行動が今すぐに必要だ」と訴えていたといいます。また、最終日の成果文書を採択する際には、英国の議長が涙で言葉を詰まらせていました。考えさせられるシーンでした。

「石炭削減」土壇場で修正 中印が要求、失望の声も―COP26:時事ドットコム

欧州や温暖化の影響を受ける太平洋の島国などからは「失望した。世界が必要としているのは石炭の段階的削減ではなく、段階的廃止だ」(スイスのソマルガ環境相)などと批判が相次いだ。しかし、会議は全会一致が原則で、一国でも反対すれば決裂するため、この修正を受け入れざるを得なかった。(出所:JIJI.COM)

「深い失望を理解するが、協定を守ることも不可欠だ。この展開を深くおわびする」。と議長は謝罪した。

 JIJI.COMによれば、環境保護団体グリーンピース・インターナショナルは声明で「彼らは言葉を変えたが、この会議が発したシグナルを変えることはできない。石炭の時代は終わるのだ」と述べたそうです。

 コロナ渦からのリベンジ消費で盛り上がり、その需要を満たすために、世界中で物品が大量に動き始め、価格が高騰しています。これでいいのだろうかと考えてしまいます。

 来年のCOP27は中東エジプトでの開催となるそうです。それまでにCOP26の宿題の答えを準備しなければなりません。停滞や後退はもう許されないのでしょう。