自動車レースに若いころのように興味を持つことは無くなってしまったが、今年のスーパー耐久レースには少しばかり興味をもった。あのミドリムシのユーグレナ社のバイオディーゼル燃料がデビューしたからだ。
そのレース結果が気になっていた。
スーパー耐久とは、日本国内で行われる自動車レースの1カテゴリで、市販の四輪車両に改造を施したマシンで勝敗が争われているという。
今年2021年から「ST-Q」というクラスが新設され、トヨタの水素燃料エンジンを搭載した開発研究車両が参戦し、岡山国際サーキットで11月14日行われたレースには、ユーグレナ製のバイオディーゼル燃料を使用したマツダ・デミオが参戦した。
水素 vs バイオディーゼル燃料
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CarWatchによれば、3時間の耐久レースの結果は、マツダのバイオデミオが97周を走りきって優勝したという。
一方、トヨタの水素カローラは85周を走り、2位だったそうだ。ただこのST-Qクラスに参加したのはこの2台だけだったという。
それぞれの最速ラップは、マツダのバイオデミオが1分52秒450、水素カローラが1分45秒463。ラップタイムは圧倒的に水素カローラが速いが、給油(給水素)時間や回数の差で(バイオデミオは1回)バイオデミオが優勝したことになる。(出所:CarWatch)
こうしたカーボンニュートラル車のレースが盛り上がればいいのかもしれない。脱炭素に興味があろうがなかろうが、こうしてメディアで紹介されれば、露出も増え、認知が広がるのかもしれない。
国のカーボンニュートラルの宣言があって、こうした流れが生まれ、支持を得られれば、やがてそれが定着していくのだろう。
CFCL
ファッションについても同じなのだろう。多くのメディアがサステナブルブランドを紹介し、環境への配慮やサプライチェーンの透明性などそれぞれのストーリーが伝えている。
2020年にデビューしたばかりの「CFCL」をVOGUEが紹介する。
東京発「CFCL」が取り組む、未来に責任を持つ服づくり。【イットなサステナブランド】 | Vogue Japan
「CFCL=Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」の頭文字をブランド名にしているという。
「衣服としての機能性、環境への配慮、最適な国産素材の選択、流通経路の透明性を追求」をコンセプトに掲げ、3Dコンピューター・ニッティングの技術によるニットが特徴という。
日本のファッションブランドとして初めてLCAを実施し、「Bコーポレーション」認証を目指すなど、サステナビリティにも積極的だ。(出所:VOGUE)
ファッションの未来を考える
CFCL代表の高橋 悠介氏が、経済産業省の「これからのファッションを考える研究会」
に参加している。
これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~(METI/経済産業省)
この研究会では、5回の協議を経て、「ファッションの未来」について、まとめることを目標としているようだ。初回の会合では高橋氏の資料が開示された。
CFCLとしてやるべき事5つを紹介している。
「徹底した業務効率化(DX)」
「カテゴリーキラーになる」
「明快なコンセプトと緻密なカスタマージャーニー」
「SDGsの最先端をいく」
「最初からグローバル市場をとらえる」。
その資料に目を通せば、きわめて合理的なことに思える。企業は社会からの要求に応えなければ、存続できない。
やるべき事3:明快なコンセプトと緻密なカスタマージャーニー
CFCLの⽅針
①社会的意義を⽰す
Clothing For Contemporary Lifeというブランドビジョン(個⼈の美意識より社会性というブランディング)。
ミューズではなくペルソナを設定し、彼らが⽇常で着るシチュエーションを提案する。特に、⼦育て世代やエシカル感度が⾼い⼈の受け⽫となれるようにする。②アセットを積む
感度の⾼い店舗だけに卸す(プロモーションの役割が強い)。幅広く雑誌やSNSの掲載とインタビューを取る(ニュースを絶やしてはいけない)。賞を取る(業界からの太⿎判)、認証を取る(倫理的姿勢を⽰す)。
③CX管理の強化
ECでは、別注商品、⾳楽、⾹り、ニュースレター、ステップメール、LINE問い合わせ(IAチャットはしない)、再⼊荷通知メール、顧客向け発注会などのサービスを⾏う。(引用:経済産業省)
この研究会には、CFCLの他、スタートアップの「シタテル」や人工クモの糸のスパイバーの関山社長、ECサイト BASEの鶴岡CEO、その他にも雑誌WWDの向氏等々多彩な顔触れが参加する。古くから大手アパレルの参加は少なく、新興勢力が多く参加しているようだ。
国のこうした審議会や部会も変わり始めたのだろうか。従来のような既得権益の代表のような企業が減り、今、社会の課題に取り組み企業が主にしているようだ。今後の議論の展開を注視し、その広がりにつながるか、ウォッチしていきたい、そう感じる。