Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱化石燃料】プラント建設会社が目指す地域の森林資源を活かした地産地消型経済

 

 世界には、「絶対に壊してはいけない生態系」があるという。これが破壊されると、貯留されている約1391億トンにもおよぶ多量の炭素が放出され、気候変動に甚大な影響を及ぼす恐れがあるそうだ。

生態系破壊で回復が不可能な炭素1391億トン 熱帯林や泥炭湿地:朝日新聞デジタル

 朝日新聞によれば、米国やドイツの研究チームは、人工衛星による測定などで「回復不可能な炭素」を推定したそうだ。

南米アマゾン(約315億トン)、東南アジア(約131億トン)のほか、アフリカのコンゴ盆地や、北米の北西部、西シベリアなどに多かった。(出所:朝日新聞

 特に、原生林や泥炭湿地、マングローブは炭素が集中するという。ここを壊してしまうと、そこから放出される炭素を回収するのに数世紀もかかる。こうした地域は優先的に保護する必要があると研究チームが指摘しているという。

 

 

グリーンリファイナリー

 プラント建設大手の日揮ホールディングスと太陽石油が共同で、森林資源を活用し、化石燃料の代替原料として、バイオマス由来の燃料やケミカルなどを製造するためのグリーンリファイナリー事業の共同検討を開始すると発表した。

国内初の森林資源を活用したグリーンリファイナリー事業の共同検討を開始 | 2021年ニュースリリース | 日揮ホールディングス株式会社

 日揮によれば、四国内の未利用森林を資源とし、木質バイオマスの分解油化からバイオ原油を製造、そのバイオ原油を原料とし、バイオマスプラスチック原料やバイオ燃料など、その製造の一連のサプライチェーン構築に向けた検討を行うという。

森林資源の収集においては、最新のICT技術による森林資源量の把握、高性能林業機械や一貫作業システムの導入による効率的な木材収集、計画的な森林施業やモニタリングによる災害リスクの低減等を実現する様々な検討を行い、経済的かつ安定的に森林資源を収集する仕組みを構築していく予定です。(出所:日揮ホールディングス)

f:id:dsupplying:20211204042450p:plain

(資料:日揮ホールディングス)

化石燃料

カーボンニュートラル」、脱炭素という新たな価値創造に向け、様々な産業で、様々な共同研究や実証実験が始まっている。

国産木質バイオマスの分解油化によるバイオ製品の製造は、化石燃料と比較して原料調達から消費までのCO2排出量を削減することが可能となるだけでなく、森林の再生や海外資源に頼らない地産地消型経済の確立への寄与も期待されます。(出所:出所:日揮ホールディングス)

 日揮は「脱化石燃料」を目指すのであろうか。

 従来のように大量に温室効果ガスが排出するのではなく、また、使い捨てを前提とすることもなく、出来るだけ多くのものを循環利用できるようにしていかなければならない。

 

 

 地域事業者や自治体、大学など、産学官で連携し、2022年から分解油化プロセスの選定を含めた実現可能性調査を実施し、将来的な商業化を目指すと日揮はいう。

 それはそれでいいことなのだろう。ただ目標は2050年のカーボンニュートラル達成にある。30年という長い年月があるように思えるが、現実には残されている時間はあまりないのかもしれない。

地産地消型社会に向けて

 従来のように、単に効率化を求め、規模を追うのでなく、まずはその地域の特色を活かし、そこに根差した持続可能性のあるしくみ作りが求められる。その特色ある地域が、点と点で結ばれるように、つながれば持続可能な社会に近づいていく。

 地域の自然環境や生態系の維持や回復を起点として、また、ごみや廃棄物を生まず、モノが循環する社会に近づいていくことを願うばかりである。