Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ今金融機関が「パーパス経営」なのか、創業時からDayOneを貫くアマゾンとの違い

 

 金融機関で「パーパス経営」が広がっているそうだ。ぶれずに貫く自社の存在意義を見つめ直すためという。

金融界にパーパス経営、多様化で推進力再考 「脱金融」も: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、金融機関のパーパスを見渡すと、原点に立ち返るものが多いという。たとえば、東京海上ホールディングスは「お客様や地域社会の"いざ"を支え、お守りする」というのが創業以来の合言葉だそうだ。

「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」。

こんなパーパスを出したのは三井住友トラスト・ホールディングス(HD)だ。20年5月に、1年間にわたる現場と経営陣の議論の末にパーパスを設定した。脱炭素化や少子高齢化で、従来の銀行セクターとは異なる信託銀行グループとしての社会的要請が高まっていることを背景に、創業当時の原点に立ち返ることを前面に押し出した。(出所:日本経済新聞

 

 

 聞き慣れないパーパスという言葉を従業員にいかに浸透させるか、各社それぞれに知恵を絞っているそうだ。

 三井住友信託銀行は、大山社長が全社員1万2000人を対象にパーパスの説明会を計26回に開いたという。東京海上は2017年からグループ内で毎年、浸透度合いを調査しているそうだ。

 こんな記事を読むと、これまでは本来すべき業務を離れ、ただひたすらにお金儲けに走っていたのだろうかと邪推してしまう。

 ESGの強化、顧客ニーズや従業員の多様化など社会が急速に変化していることが、その背景にあると日本経済新聞は指摘する。

供給網が混乱する中、なぜアマゾンはスムーズな配送を実現できるか

 新型コロナからの経済回復で供給網、サプライチェーンが大混乱している中、米Amazonが、スムーズな配送を実現しているという。

Amazonはなんとコンテナを自作し海上流通の大混乱を回避していた、その綿密な戦略の全貌に迫る - GIGAZINE

 アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス港やロングビーチ港では、入港待ちになっているコンテナ船が過去最多となり、流通が滞る原因となっていた。また、配送遅れの原因として世界的なコンテナ不足が指摘されており、コンテナ価格はパンデミック前の10倍にあたる2万ドル(約230万円)まで上昇していたとGigazineはいう。

 

 

 アマゾンはこんなことになることを想定していたのだろうか。過去2年間で5000~1万個のコンテナを中国で製造し、アメリカへと持ち込んでいたという。

Amazonは利益率の高い製品の配送について、ボーイング777といった航空機をリースして中国からアメリカへの配送に利用しているとも伝えられています。

また民間の貨物船をチャーターし、混雑しているロサンゼルスではなくワシントンの港に荷物を運び、そこからトラックでロサンゼルスに荷物を運ぶという形を取っているそうです。(出所:Gigazine

 世界的に労働者不足も物流の大きな問題となっているが、Amazonは人的資源を確保するために2021年に雇用している季節労働者全員に最大3000ドル(約34万円)のサインオンボーナス(入社時一時金)を提供しているという。なかなか出来そうで出来ないことなのかもしれない。

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(写真:Amazon.co.jp

 そのAmazonは今も創業の精神を忘れまいとして、「DayOne」(毎日がはじまりの日)を掲げている。

 お客様の信頼を得て、それを維持するためには、「Day One」のアプローチが唯一最大の原動力だという。

Amazonの意思決定プロセスでは、その行動が、(結果的に取り返しのつかない)一方通行の扉なのか、方向修正や後戻りが簡単に行える双方向の扉なのかを考えるよう社員に求めます。(出所:Amazon.co.jp

 地球温暖化防止を求められる中にあって、アマゾンは過剰消費を助長しているようものとの批判があるのかもしれない。ただ、創業時からお客様の期待に応えようとするその姿勢は評価してもいいのではなかろうか。サプライチェーンが混乱し、モノ不足といわれている今、それでもなお最善を尽くし、モノの供給を途絶えさせないようとすることはアマゾン以外の企業では成し得ないのかもしれない。

 あくまでもお客様の信頼によってもたらされる利益と、 ただ金儲けしようとして得られる利益では、その価値が大きく異なるのではなかろうか。