アメリカ カリフォルニア沖で、ラッコが個体数を増やしているという。18世紀以降、この海域では、200年余りでラッコの個体数が20,000頭から50頭にまで激減したそうだ。ラッコの良質な毛皮を目当てに乱獲されたことが理由という。
ラッコが激減したことで、この海に、ムラサキウニが爆発的に増え、元々この海を覆いつくしていた海藻のジャイアントケルプの森がウニによって食べつくされるようになり、危機に瀕するようになったという。
二酸化炭素を吸収する“海藻の森”をラッコが救う | WIRED.jp
そこで、この海藻の森を取り戻す試みとして、ウニの天敵であるラッコの個体数の回復の取り組みが始まったそうだ。海中にジャイアントケルプの森を再生し、再び大量の二酸化炭素を吸収させることを目指すようだ。
生態系を壊したことが、温暖化に遠からず影響していたかと思うと、残念なことでしかならない。思えば、人は身勝手なもので自然界に存在するものを無償の資源として何から何まで利用し、生態系を壊し続けてきたと言っていいのだろう。
持続可能な森から作られる楽器
森林もそのひとつのだろう。そこで採れる良質な木材は楽器となり、人々の心を和ます。しかし、楽器に利用できる木材の部位はごく限られたもので、そのためには多量の資源を要する。そして、その原木の持続性が危ぶまれていたという。
ヤマハが楽器に使う木材の持続可能な調達に力を入れているという。森林の育成などで京都大学との共同研究のほか、北海道では自治体などと連携協定を結びエゾマツの植林を進めるそうだ。
ヤマハ、楽器用木材調達を持続可能に 産学研究や植林: 日本経済新聞
京都大学とは「包括的研究連携協定」を結び、「森林資源の持続可能性」を追求するという。これまでに、木管楽器に多く使われるアフリカン・ブラックウッドの植生や育成状況を調べ、今年10月からはアフリカ タンザニアで、現地NGOと協業して、約4.5 ha、延べ7400本のアフリカン・ブラックウッドの植栽試験を開始したという。
「アフリカン・ブラックウッド」:東アフリカ地域のタンザニアやモザンビークを主な産地とするマメ科の樹木で、木製のクラリネット、オーボエのほぼすべてはこの樹木を材料としています。成長形質が整い難く、製材歩留まりが約9%程度と低く、近年、その持続性が懸念されています。(出所:ヤマハ)
このアフリカン・ブラックウッドは、楽器に使える大きさに育つまでに70年もかかるそうだ。その上、高さ10メートルの大木に育っても、その1本からはクラリネット50本しか作ることができないという。
悪習を正すとき
「気候変動は大きな船のキャプテンのようだ。曲がりたい一方で船は真っすぐに進んでいく」。そういったのは、ノーベル物理学賞を受賞した眞鍋さん。
自然界は、すぐに変化することはないということであろうか。それは物体に慣性の法則が働くことと同じということなのだろうか。
人間もまた同じかもしれない。意識的に改めない限り、同じパターンを繰り返してしまう。習慣、慣習とは恐ろしい。ただ、人間には意識がある。それを上手く利用でれば、悪習を正すことはできるはずだ。
もう地球から搾取することを最小限にとどめ、もっとモノの再利用やリサイクルを進めていかねばならないのだろう。そして、これまでに人為的に増加させてきた二酸化炭素をカーボンネガティブをもって減少させていくいかねばならないのだろう。