Up Cycle Circular’s diary

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【脱炭素に乗り遅れない】進むオフサイトコーポレートPPA、インパクト投資

 

 脱炭素社会への移行が徐々に進み始めているのだろうか。どの企業も、その影響を免れることは出来ず、何かしらのアクションを求められる。たとえば、今まで資源や化石燃料の商いで益を得ていた商社はまるで電力会社に変ったように再生可能エネルギー関連を積極的に推進している。

変わる商社ビジネス

 アマゾンとオフサイトコーポレートPPAで契約した三菱商事が、今度はローソン向けにオフサイトPPA(=自社の敷地から離れた場所にある発電所から、送電ネットワークを介して企業に電力を供給する仕組みのこと)で再生可能エネルギーの供給を行うという。

三菱商事 - プレスルーム - 2021年 - 三菱商事とローソン、国内最大級オフサイトPPAによる再エネをローソン店舗へ供給 | 三菱商事

 三菱商事によれば、ローソンの関東甲信地区の店舗の他、岐阜県静岡県、愛知県、三重県の一部の店舗、約3,600店舗に再エネを導入するという。この店舗向けの電力を三菱商事が、太陽光発電所を新設し供給する。その太陽光発電設備の規模は約45MWになる見込みで発電量としては、一般家庭の約9,000世帯分の電力使用量に相当し、オフサイトPPAとしては国内最大級となるそうだ。

 企業によるオフサイトPPAであれば、傾斜地や環境破壊につながるような無理な発電所建設は減るのだろうか。無理な建設を進めれば、企業イメージを棄損することにつながりかねない。

 こうした中に、ソーラーシェアリングが取り入れられてもいいのかもしれない。太陽光パネルの下で育った野菜がコンビニの総菜の原料になってもよそさうだ。

 

 

 かつては石炭火力発電所に出資して、燃料の石炭供給で口銭をあげ、電力販売に関与することでも益をあげていた商社ビジネスが再生可能エネルギーに移行したということであろうか。今までの石炭のように、太陽電池に投資、その供給をおさえるアグレッシブさがあってもいいのではなかろうか。

ゼネコンが開発する水素貯蔵合金

 東京オリンピック特需で潤ったゼネコンも、だいぶ様変わりしてきているようだ。

 清水建設が石川県金沢に建設したビルがまるで「巨大な電池」のようだと、日本経済新聞が紹介している。

清水建設のビル「巨大な電池」に? 潜む水素タンク群: 日本経済新聞

屋上に設置したのは出力140キロワットの太陽光発電設備。その出力で建物に必要な電力を賄う。週末や祝日は電力消費が減るため電力が余る。

その一方で、天候が悪く発電量が少ない日は電力が不足する。そこで、ピークカット用のリチウムイオン電池のほかに、水素を貯蔵するタンクを設けた。

余剰電力で水を電気分解して水素を製造し、タンクで長期貯蔵する。余った電力をリチウムイオン電池にためるか水素で貯蔵するかは、効率が高いとみられる方を制御システムが自動で選択する。(出所:日本経済新聞

 蓄えられた水素は燃料電池に利用され、電力に変換されるという。また、余剰電力で作られた水素は「水素貯蔵合金」に蓄えられるという。清水建設は以前からこの「水素貯蔵合金」の開発を進めてきたそうだ。

 公共工事や巨大な土木工事というイメージのあったゼネコンもまた変化しているようだ。

 

 

インパクト投資

 国内の金融機関20社あまりが11月末、投融資を通じて社会課題の解決を目指す「インパクト金融」の推進を共同で宣言する「インパクト志向金融宣言」を発表した。

環境対策に取り組む企業に重点的に投融資しないことはリスクだが、グリーンということばだけを鵜呑みにして投資するのもリスクだ」。

 こうしたグリーンウォッシュを見抜くためにも、「インパクト投融資」に注目が集まっているという。

インパクト投資とは、「経済的利益とともに、測定可能で有益な社会的または環境的影響を生み出すことを目的として行われる投資」を指すという。

脱炭素時代 ESG投資の先には何が?【経済記者コラム】 | コラム 株・円相場 | NHKニュース

 NHKによれば、間に入る金融機関などがあらかじめ具体的な数値目標を設定して、その後も進捗をモニタリングするという。

 ブルームバーグによれば、赤字決算なのに株価への悪影響を相殺させるために「自社株買い」を行うケースや借金によって自社株買いを行うケース」があるという。こうした愚行、不健全な行為もインパクト投資で正すことができればいいのかもしれない。

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 こうしたニュースを聞けば、ほっとするが、まだまだほんの一例に過ぎないのだろう。適正な投資が活発に行われ、それが正しく回り始めれば、経済も正転し、社会課題が解決されていく。そうした循環に早く移行し、大企業ばかりでなく、すべての企業がその恩恵を受けることができるようになればいいのだろう。

 ファーストペンギンになることは難しいが、みなが飛び込んだ海なら、恐れることなくして飛び込むことができるのではなかろうか。