企業の間で恒例行事だった年賀はがきによる新年のあいさつを取りやめる動きが相次いでいるそうです。
広がる年賀状廃止 企業が環境・デジタル化意識:時事ドットコム
JIJI.COMによると、環境意識の高まりで紙資源の利用が幅広く見直されていることに加え、新型コロナウイルス禍や働き方改革を背景としたテレワークの普及などデジタル化の進行が拍車を掛けているといいます。
時代に合わせ、形骸化した慣習を見直すことはいいことなのかもしれません。少し寂しい気もしますが、どうなのでしょうか。
企業の中にある紙のムダ
紙のムダといえば、企業の中にはまだまだたくさんあるのではないでしょうか。税務処理や国の補助金関連などもまだまだ紙ベースものが多く、デジタル化などによって改善できる余地があるのではないでしょうか。
国税関係の帳簿や書類は「紙での保存」が原則で、いわば効率化、デジタル化の妨げになっていました。これらの負担軽減を目的に、「電子帳簿保存法」が施行され、これによって電子データでの保存が特例として認められていたといいます。
OBCによれば、1998年の施行以来、時代の変化に応じて幾度となく法改正が行われてたそうです。直近では2020年10月に電子決済の利用明細データも証憑(しょうひょう)として認められるようになり、徐々にスキャナ保存や帳票類のデータ化、電子取引に取り組む企業が増えたそうです。
ただ、まだ「国税関係書類の保存は紙で」というルールを敷いている企業も未だに多く、この「電子帳簿保存法」を改正することで、こうした企業のルールに一石を投じ、「経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上・記録水準の向上」を目的に施行されるといいます。
電子帳簿保存法、電子受領データ保存に2年の猶予確定 広がる混乱 - ITmedia ビジネスオンライン
一度定着した習慣を変えることは難しいのかもしれません。急激な変化は混乱のもとのようです。こうした大義名分で改正される法律も十分な準備期間がないと、対応できないようです。法律の趣旨と裏腹というところでしょうか。
効率化とデジタル化
だいぶ前のことですが、ドットプリンターが華やかしころ、オフィスでは多数のプリンターが音を立てて、注文書などの帳票類を印刷し、それを人手をかけ一つ一つ取引先に郵送していました。
それから月日は流れ、Web上で在庫情報を共有するようになり、それをもとにモノの動きをコントロールできるようになりました。それでもまだ帳票類は印刷し、郵送せざるを得ませんでした。国のルールが変わり、デジタル化が進めば、こうした手間も解消され、また、様々な資源の節約につながります(データ量は増えるので、そのためのエネルギーが必要になりますが)。
基本効率化を推進すれば、生産性は向上し、利益体質が強化されます。効率化は従業員によって推進されることによって成果が上がります。その益はまた従業員に還元されて然るべきなのでしょう。それがインセンティブになり、また次の改善につながればいいのでしょう。
SDGsとのかかわり
紙のムダを削減する、手間を省きたい、日ごろ感じる疑問が改善の起点といわれます。その発案をムダにしない組織作りが求められているのかもしれません。
紙のムダが削減されれば、森林資源の保護につながり、SDGsの目標に合致します。デジタル化も、効率化も、SDGsも実は相性がいいのかもしれません。そんな視点の活動が広がって欲しいものです。
「参考文書」
紙保存は要注意!2022年「電子帳簿保存法」改正後に経理担当者が押さえておくべきポイント 〜規制緩和・規制強化の内容を総ざらい