コロナ禍で外食産業が厳しい状況に立たされ、それぞれが創意工夫を凝らしている。居酒屋チェーンのある企業は業態を変え、寿司に触手を伸ばし、それとは逆に、回転寿司のスシローは、気候変動を念頭に、魚が取れなくなることを想定してのことか、主要な魚種を安定的に確保することを狙って、ゲノム編集された真鯛の「リージョナルフィッシュ」と共同研究を始めたという。
タンパク質クライシス
その「リージョナルフィッシュ」が開発した真鯛は、一般的な品種よりも少ない飼料で育ち、可食部が約1.2〜1.6倍に増え、通常より14%飼料効率が高いという。そして、これを「22世紀鯛」と呼ぶそうだ。
TechCrunch Tokyo 2021 スタートアップバトル優勝は、ゲノム編集で食糧危機を救うリージョナルフィッシュ | TechCrunch Japan
TechCrunchによると、「リージョナルフィッシュ」はDNAを狙って壊し、その自然の回復力で自然な変異を起こす「欠失型ゲノム編集」により、超高速の品種改良とスマート陸上養殖を組み合わせた次世代水産養殖システムの研究、およびゲノム編集により生み出された「22世紀鯛」の販売を行うスタートアップだという。
同社はこの技術を用い、より良質で効率的なタンパク質源を確保することで、タンパク質の需要が供給を上回る「タンパク質クライシス」という大きな課題に立ち向かう。(出所:TechCrunch)
マクドナルドがこだわる空気の質
ファーストフードはコロナ禍の影響が少ないと言われる。その代表格であるマクドナルドは、2017年から空気清浄システム「ナノイーX(パナソニック)」を導入し、店舗の空気の質にこだわる。
おいしい空気は“0円” 日本マクドナルドが「ナノイーX」を採用したワケとは? | 未来コトハジメ
日本マクドナルドは新型コロナ前から換気には非常に気を配っており、郊外のドライブスルー店舗では、1時間で50メートルプール4杯分ほどの空気を常時入れ替えています (出所:未来コトハジメ)
未来コトハジメによれば、「ナノイーX」は空気中の菌やアレル物質などの有害物質を変性させ、抑制する「OHラジカル」をふんだんに含む「水から生まれた清潔イオン」という。これまで自動車、鉄道、コインランドリー、スーパーマーケット、ホテルなど、さまざまな生活空間に実装されてきたという。
「レストランですから、お客様に快適な空間でお食事していただくことが最大の目的です」。
ウイズコロナの世界では、こうした配慮が安心・安全が醸成していくのかもしれない。
パナソニックが挑む食のサブスクサービス
コロナ禍も3年目になろうとしている。オミクロン株が登場し、なかなか出口が見通せなくなっている。外食産業にダメージを与えている一方で、私たちへの影響も大きい。従来のように飲食店を訪れる機会が減り、それにストレスを感じたりもする。
こうしたことに対応してくれる新たなサービスがもっともっと活発してもいいのではなかろうか。
パナソニックが、家電と食のサブスク「foodable」に新コースを追加したという。
「foodable」は今年6月から始まり、いわゆる「おうち時間」に、新たな食体験を通じた「楽しさ」を提案するサブスクリプションサービスだという。
家電と食のサブスク「foodable」に新コース追加でサービスを拡充 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan
「foodable」は、月額3,980円(税込)で利用できるそうだ。最新のキッチン家電と厳選こだわり食材を定期的に届けるという。既に始まっている、ごはんソムエリエ厳選銘柄米と銘柄米炊き分け機能搭載の炊飯器が使える「全国ご当地米食べくらべ体験」や、職人こだわりの冷凍パンとオーブントースター ビストロによる「本格ベイクアップ体験」などが好評だという。
後戻りしないレストランのデジタル化
レストランも「コロナとの共生」に取り組み、デリバリーやテイクアウトできるお店が増えた。これによって、「Uber Eats」や「出前館」などのデリバリーサービスが成長し、次いで、テイクアウト系サービスが登場、スマホアプリを通じて注文、高い配達料を払うことなく、「自宅でレストランの味」を楽しめるようになった。
コロナ禍をバネに飛躍 「レストランDX」が描く外食の近未来 | 未来コトハジメ
コロナによって生じた変化は、顧客の「自宅でもレストランの味を楽しみたい」というニーズを満たし、レストランの利便性を高めたと、未来コトハジメはいう。
そして、これを支えたのがレストランのデジタル化、つまり「レストランのデジタル・トランスフォーメーション(DX)」だという。こうしたデジタル技術を使ったレストランのこのような進化は、コロナが終息したとしても、不可逆な動きとして定着していくことは間違いないと指摘する。
危機は変化を促し、その本質を問う。危機に早く対処しようとすれば、それが新たな機会になったりするものだ。その得たチャンスをムダにすることなく、サービスの効率化を進めていくべきのだろう。デジタルがそれを手助けしてくれるのは間違い。さらなる進化と、徹底したムダ取りが、たとえばスタッフの給与改善にもつながっていけばいいのだろう。そこにSDGsの本質があったりするのだろう。
「参考文書」
スシロー、先端技術投資に意欲 ゲノム編集、主要魚種を安定確保 | 共同通信