Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

配膳ロボットで労働環境が改善できれば、SDGsに貢献できるか

 すっかりとSDGsが流行となったのかとつくづく感じる。それによって少しでも善き社会に近づいていくのなら、それはそれでいいことなのだろう。ただ何から何までSDGsで括ることはなろうとも感じる。

 LIMOによれば、ESG投資における「E(環境)」や「S(社会)」は、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」、「働きがいも経済成長も」といった複数のゴールに関わるといい、その事例をすかいらーくグループの取り組みで解説する。

【SDGs】優待で人気なすかいらーくのESG戦略とは?その注目点と評価 ~株式投資の重要ヒント!有名企業のESG戦略分析シリーズ~ | LIMO | くらしとお金の経済メディア

 それによれば、レストラン運営会社の事業の持続可能性を考えた場合、「原材料調達の柔軟さ」が重要となるといい、「環境(E)」に関連すると指摘する。

原材料調達の柔軟さとは、事業環境に変化が起こっても食材などの原材料を安定して調達できる体制ということになります。この点、すかいらーくサプライチェーンに関する説明を見ると、全国に10カ所あるセントラルキッチンでは余分な在庫を持たず、保存コストを抑えるといった、安定性よりも効率性を重視する姿勢が見受けられます。(出所:LIMO)

 

 

 レストラン業界では、世界の貿易で当たり前になっている「ジャストインタイム」とは無縁ということなのだろうか。

環境に貢献するということは

 すかいらーくの原材料の調達先は世界40カ国にも上っているそうだ。実購入単価ベースで安価を求めた結果なのだろうか。調達リードタイムやライフサイクルアセスメントは考慮されているのだろうか。そのバランスが考慮し、サプライチェーンを最適化するのが調達の仕事というものだ。

 製造業で調達の仕事をしていたときは、半径200km圏内での調達を原則とし、その物流ルートは昔の牛乳配達を模し、ミルクランと称して、走らせるトラックの台数を減らす取り組みをしていたものだ。SDGsやESGとは無縁の頃だったが、その結果はCO2の排出低減にもつながっていたことだろう。

 ただ単に効率性を追求すれば、地産地消があたり前になるのだろう。それが調達の安定性にもつながり、なおかつカーボンフットプリントを最小化でき、「環境」に貢献する。

 地産地消のメリットはそればかりではないだろう。地域社会を活性化する可能性もあるのだろう。地産地消で提供される食材が顧客の満足につながれば、その効果ははかりしれないのかもしれない。

 SDGs的な視点から現状分析し、改善を検討してみるのもいいのかもしれない。

 

 

効率化は継続するもの、短期的な業績改善にあらず

 すかいらーくの経営は持久戦が続いている状況とLIMOは解説する。それによれば、すかいらーくは11月、2021年12月期通期の業績予想を修正、売上高予想は引き下げ、利益は大幅な引き上げ予想になったという。利益の改善には、深夜営業廃止による固定人件費や水道光熱費の低減などが貢献する内容になっているそうだ。

苦境ならではのメス入れが継続している状況で、依然としてコロナとの厳しい戦いが繰り広げられています。(出所:LIMO)

すかいらーくグループは厳しい事業環境に立たされながらも、労働管理において従業員保護と収益性の確保を両立しているほか、原材料の調達においても安定性を高める取り組みを進めています」と指摘、コロナ動向とセットで業績に注目が集まるのはもちろん、ESGの観点でも事業の収益性・安全性が改善する点においても、より注目を集めていくことでしょう」という。

 コロナ禍による事業悪化に対応したということであれば、言葉悪く言えば、リストラしただけのことだろう。それが直接的にSDGsやESGに結びつくことが、今のSDGsなのだろうか。

 コロナ禍前に、何度なくファミレスに足を運び、ランチを頂いたものだが、混み合う時間ではみながたいへん忙しそうに働いていて、もう1人スタッフがいればだいぶ違うのだろうなと眺めていた。ただ粗利からすれば、そうもいかないのだろうなどと勝手に想像した。ただ労働環境としてはどうなのだろうか。その状況で、SDGsに貢献できているというのだろうか。

 

 

ロボットとSDGs

 そのすかいらーくが配膳ロボットを導入し始めたという。2022年4月までにガスト約700店を始め、じゃぶ葉にも導入、その後、2022年末までに合計約2000店舗に設置する計画という。ロボットを導入することで、一度に複数のテーブルに料理を運ぶことが可能となり、スタッフの負担軽減を図ることができる。滞りがちだった会計や案内などの業務に人手を割けるようになるそうだ。配膳が効率化できることで、顧客満足度の向上にもつながり、コロナの感染予防にもつながるのかもしれない。

  ロボット導入による配膳の改善、効率化がもしかして、LIMOが指摘するSDGsの「すべての人に健康と福祉を」、「働きがいも経済成長も」とゴールに関わるようになり、ESGの「S(社会)」に貢献することになるのかもしれない。

 すかいらーくSDGsに取り組んでいないとは言う気はない。ロボット導入で働き手の労働環境が改善していけばいいのだろう。そして、その改善が日々続いていけば、持続可能な社会に一歩近づいていくことになるのではなかろうか。