Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ「悪い円安」は終わらないのか、SDGsで国内産業は活性化しないのだろうか

 

 足下での物価上昇が気になります。総務省によれば、昨年12月の全国消費者物価指数は、前年同月比で0.5%上昇し、前年実績を上回るのは4カ月連続になるそうです。

消費者物価指数、0.5%上昇 21年12月、4カ月連続 | 共同通信

 共同通信によれば、原油高や円安で電気代やガソリン代などが値上がりし、品目別ではエネルギーが16.4%上昇しているといいます。

 適正な物価上昇はよいこととされています。その前提条件は、「賃上げ」が物価以上に上がることのようです。「悪いインフレ」にならないことを願うばかりです。

 

 

 最近では「悪い円安」「悪いインフレ」という言葉を耳にするようになりました。

 税理士ドットコムニュースによれば、円安によって輸入代金が上昇すると、それによって物価上昇を強く感じるようになるといいます。

日本は「悪い円安」に陥っているのか 今さら聞けない「為替」の基本 - 税理士ドットコム

 以前と異なり貿易黒字は縮小し、輸入が増加するようになり、円安による輸出の効果よりも、輸入の増加と調達コストの上昇という負の側面の方が強くなっているそうです。

 このことから「悪い円安」とも言われるようになっているようです。

 このまま円安基調が続くようであれば、輸入が減るように国内産業が充実すればと思うのですが、簡単なことではないのでしょうか。国内産業の育成なくして、輸出増もありえないように思えますが。

 

 

 エネルギーはその最たるもので、再生可能エネルギーであれば、燃料を輸入頼る必要はありません。また必要設備、装置を含めて内製化でき、競争力を持ち得るのであれば、その装置の輸出も可能性になるのではないでしょうか。何とかならないものなのでしょうか。

北海道釧路の地域マイクログリッド

 北海道電力ネットワークが、釧路市に地域のマイクログリッド 小規模電力網を構築し、自然災害等による大規模停電が起こった際にも地域で電気を使えるようにするといいます。エリア内には再生可能エネルギーのバイオガス発電や太陽光発電設備に、蓄電池も設置し、2023年3月からの事業開始を目指すそうです。

釧路市阿寒町地域マイクログリッド構築事業コンソーシアム協定書の締結について - ほくでんネットワーク

 ほくでんネットワークによれば、糞尿をつかったバイオガス発電設備の運用を行う㈱天翔阿寒は牧場の近隣に立地し、糞尿の提供も行うそうです。

 こうした燃料輸入に頼らない地域の小規模電力網が、北海道ばかりでなく色々な地域で増えていけばいいのではないでしょうか。その地域特性に合わせた、例えば小水力発電などの再生可能エネルギーの利用があってもいいのかもしれません。こうした小さな電力網の点と点が、デジタル技術で融合し、大きな仮想発電所VPPとして運用されていくようになればいいのでしょう。

 

 

地産地消のサーモン養殖

 ミドリムシユーグレナは、三重県多気町と中部プラントサービスの3者で、「もっとバイオ多気」というコンソーシアムを設立し、木質バイオマス発電所の排熱などの未利用エネルギーや町内の未利用資源などを活用した陸上での魚介類養殖の実証試験を共同で実施、その成果を昨年8月に発表しました。

三重県多気町の未利用資源と微細藻類による飼料を給餌した「多気サステナブルサーモン」を開発 | 株式会社ユーグレナ

 その成果物である「多気サステナブルサーモン」は、多気町の未利用資源の活用し、環境負荷を軽減した育成方法を取り入れ、また、飼料にはミドリムシを利用することで低魚粉化し、また外来生物を有効利用することで、開発されたといいます。

 この「多気ブランド飼料」という名のエサには、多気町原産のユーグレナミドリムシ)や規格外品としてこれまで未利用のまま廃棄されていた松阪牛の牛脂、酒粕、米ぬか、伊勢芋、伊勢茶、ミカン、次郎柿に加え、生態系への影響が懸念される外来生物であるアメリカザリガニなどを配合して低魚粉化したそうです。

 また、陸上養殖では、閉鎖循環式を取り入れ、水を常にろ過しながら再利用するため、環境への負荷が少なく、また設置場所の制約がないといいます。

 

 

 また、水揚げされる「多気サステナブルサーモン」は、地元三重県立相可高等学校が運営する高校生レストラン「まごの店」で提供されるそうです。

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(写真:ユーグレナ

 こうした1次産業から3次産業にわたる事業が国内のあちらこちらで立ち上がり、デジタル技術を活用することでさらに効率化運営が進めば、地域は活性化し、そこに雇用が生まれれば、さらなる地域活性化に貢献することにならないでしょうか。

 また、近年養殖生産は、世界で年々伸びているそうで、使用される飼料は、天然魚を主成分とする魚粉がタンパク質源として利用され、持続的な養殖業の発展のためにも飼料の魚粉依存を減らすことが急務となっているといいます。今回開発されたような飼料の低魚粉化は、SDGs「GOAL14:海の豊かさを守ろう」への貢献につながるとユーグレナはいいます。

 こうした仕組み、取り組みが国内ばかりでなく、海外にも輸出されていってもいいのかもしれません。また、こうしたことを通して、効率化が進み、国内産業の生産性が向上していけば、円安是正にもつながっていかないのでしょうか。