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取り残される不安、株価が急回復する米アマゾン、百貨店を切り離すセブン&アイ

 

 一時、値を大きく下げていたアマゾン・ドット・コムの株価が4日に急上昇、前日比14%高で取引を終えたそうです。昨年10-12月(第4四半期)決算が予想を上回ったことや、プライム会員の会費引き上げが好感されたといいます。

アマゾン株急伸、プライム会費値上げ-クラウド好調で予想上回る利益 - Bloomberg

オンラインストアの売り上げは新型コロナウイルス禍で需要が急増した昨年から減ったが、収益性の高いクラウドコンピューティング事業と広告事業がそれを十二分に相殺した。(出所:ブルームバーグ

 アマゾンの決算内容について、「労働環境とサプライチェーン環境の厳しさを乗り切りつつ、コロナ関連のハイパー投資サイクルの後半に近づきつつあることを示す確たる証拠だ」とアナリストが述べているそうです。

 

 

オンライン販売のコスト増はアマゾンを圧迫しないのか

 一方ロイターは真逆な見方をします。ブルームバーグ同様、昨年第4四半期の収入が伸びたのは、AWS アマゾン・ウェブ・サービスと広告プラットフォーム収入であることを指摘する一方、オンライン販売のコスト増を問題視しています。

コラム:インフレに弱いアマゾンの構造、衰える「稼ぐ力」 | ロイター

ネット通販サイトを通じて受けた注文を実行し、商品を配送するには非常に多くの労働者が欠かせない。これまで進めてきたアマゾンの事業拡大には、巨額な資金も必要となっている。

そして、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)中にネット消費需要は最高潮を迎え、アマゾンの現在の従業員は160万人と、パンデミック発生時の約2倍に増えた。(出所:ロイター)

 ロイターによると、米アマゾンは人員確保のために初任給引き上げ、労働コスト増加となり、業績に悪影響を及ぼしたとの認識をジャシーCEOが示したといいます。そればかりでなく、倉庫拡張や配送車両を増やす取り組みを進めた結果、それもまたコスト増となった指摘します。

 

 

「米アマゾン・ドット・コムは、米巨大IT企業としては毛色が異なる部分がある」と、ロイターはいいます。

 市場支配力を持ち、急成長を続けている点は他と同じだが、他のGAFAMと異なり、アマゾンの従業員はとてつもなく多く、またコストがかかる膨大な配送ネットワークというインフラを抱えている。

 ロイターの指摘が正論のように聞こえますが、どことなく日本的であるのかもしれません。

セブン&アイ 終わらない構造改革

 日本では、小売り大手の「セブン&アイ・ホールディングス」が、不振が続く傘下の百貨店「そごう・西武」を売却する方向で検討しているそうです。

 既定路線だったのでしょうか。バリューアクト・キャピタル社からの要求が渡りに船になったのでしょうか。

中期経営計画 2021-2025(セブン&アイ・ホールディングス)

 コロナ禍という意味では、日米どちらも状況には大きな差がないのに、その対応には差があるように感じます。

 それは業種の違いからなのでしょうか。同じ小売りに携わりながら、IT企業であるアマゾンと、イトーヨーカ堂を母体とし業種を広げてきた「セブン&アイ」ではDNAが根本的に違うということなのでしょうか。

 

 

焦燥と不安、なぜ日本は取り残されるのか

 米国の1月の雇用者数が市場予想を上回る増加となったといいます。新型コロナの感染拡大やそれに伴う事業の一時休止にもかかわらず大きな伸びを見せているそうです。また、賃金も予想を超える伸びを示し、米金融当局に利上げを求める圧力が強まっているといいます。

米雇用者数は大幅増、コロナの影響はねのける-利上げ圧力増大 - Bloomberg

 ブルームバーグによると、1月は幅広い分野で雇用の伸びが見られ、特に増えたのは娯楽・ホスピタリティーの分野で15万1000人増だったそうです。この他にも、運輸・倉庫、小売り、プロフェッショナル・ビジネスサービスでも堅調な伸びがあったといいます。

 日本が取り残されていくような不安を覚えます。流行り言葉になってしまいますが、やはりDX デジタルトランスフォーメーションが求められているのでしょうか。

 アマゾンは次々と新たなことに挑戦し、事業を育てようとの意識があるように感じます。一方、始めるのに遅く、成長を待てずに撤退は早いのが日本企業のように見えます。

 今回のセブン&アイの判断は強みに集中するという意味では合理性があるのでしょうが、根本的なところでは弱みを抱えたままなのかもしれません。それは人財なのかもしれませんし、それを補うためのマネジメントのしくみなのかもしれません。