「衣服は生活必需品」として、ユニクロのロシア事業を継続させるとしていたファーストリテイリングが一時停止を決めた。
ウクライナ情勢が混迷を深め、国際社会でロシアへの批判が強まるなか、修正を余儀なくされた形だと日本経済新聞はいう。
ユニクロ ロシア事業について | FAST RETAILING CO., LTD.
ファーストリテイリングはあらゆる戦争に強く反対します。
私たちは、人々の人権を侵害し、平穏な生活を脅かすいかなる攻撃をも非難します。
私たちは戦火に遭われている方々に心を寄せ、最大限の支援を続けていきたいと考えています。困難な状況に置かれた多くの人々が、一日も早く、平和で安定した生活を取り戻されることを切に願っております。(出所:ファーストリテイリング)
誰もがこう願っているのではなかろうか。
柳井社長は、ロシア事業を続ける意義について日本経済新聞の取材で、「企業はそれぞれだと思う。そこに消費者がいる以上はサービスを提供する。当社がアップルのように米国企業ならすぐ止めるかもしれない。でもロシアは日本のすぐそば。ロシアの人々が日本に悪感情を持つことがいいことなのか」と語っていたという。
ユニクロ、世界の目厳しく ロシア事業一時停止へ転換: 日本経済新聞
ロシアに対する国際社会の批判が日増しに強まり、ユニクロについての反応も想像以上に厳しかったという。
「悪いこと、対立がそんなに長く続くはずはない」という楽観的なところが柳井社長にはあったりしたのではなかろうか。そうであるから、批判される側にいる弱き立場の人のことも気がかりになるのではなかろうか。先読みが甘いと言われれば、それまでのことなのだろうけれども.....
政治とビジネスは不可分の関係になっている。欧米では企業やスポーツ選手も政治的なスタンスを示すことが当たり前だ。中立の立場を示しても、曖昧な姿勢ととられかねず逆に批判も受けやすい。(出所:日本経済新聞)
これが現実なのかもしれない。ただ、それでは対立、分断を許容しているように思えてならない。その流れに抗うことで、流れが変わるのであれば、抗し続ける意味もあるが、そうでないなら大きな流れに乗らざるを得ない。
中庸
対立するふたつの意見があるとき、一方にかたよって取り入れるのではなく、両方のいい点をバランスよく取り入れるような考え方を中庸といいます。(出所:マイナビニュース)
孔子やアリストテレスが説く道徳の中心的な思想。誰もがこの中庸の精神を実践できるなら対立もなく、残虐非道な行為もなく、常に調和を目指すようになるのだろう。
自然は独占を嫌う。熱いものと冷たいものが混じり合えば、ある温度になってバランスするものだ。両者の偏りが大きくなればなるほど、バランスをとるには時間がかかってしまうのだろう。
SDGsでは「誰一人取り残さない」という。しかし、戦争という現実があり、必要以上に対立が生まれ、取り残れている人を次々と生んでいる。SDGsにもESGにも限界があるということなのだろう。
この争いが終われば、新たな秩序が求められることになるのだろう。それが中庸の心構えになるのかもしれない。
「参考文書」
中庸とは? 意味や使い方、孔子やアリストテレスによる中庸の教えも解説 | マイナビニュース