Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ウクライナ情勢に見る正しきことを追求する困難さ

 

 ロシアによるウクライナでの戦争が続く。ウクライナからの難民が250万人を超えたという。

 これだけの多くの人々が戦争によって避難せざるを得なくなっているということは、あってはならないことなのだろう。何よりも停戦が求められる。

 戦争当事国双方に「正義」があり、戦う大義があるのだろう。どちらが正しかという絶対的な判断は難しい。どちらが道理に従い、道義に適っているのかと、見方が必要なのだろう。いずれにせよ、双方の国において、弱き立場の人々が苦しい状況に追い詰められていくのも間違いないのだろう。

 

 

 国連総会の緊急特別会合では、193の加盟国のうち、141か国がロシアを非難し、軍の即時撤退などを求める決議案が圧倒多数で採択された。ただ欧米主導進める経済制裁には141か国すべてが参加しているわけではない。

 しかし、未だ戦火は鳴りやまず、被害は拡大しているようだ。絶対悪は「戦争」ということだけは間違いないのだろう。

難民に対する欧州のダブルスタンダード

 欧州側の難民受け入れの対応はこれまでと大きく変わったと朝日新聞は指摘する。中東などから欧州を目指す難民や移民の上陸や越境を阻む「プッシュバック(押し返し)」が問題になっていたという。

ウクライナ難民、受け入れ一色へ転換の欧州 「肌の色で差別」訴えも [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

2015~16年には、シリアなどから100万人以上が欧州を目指した「難民危機」の際、ポーランドハンガリーとともに徹底的に受け入れを拒んだ。政府はこれまで移民・難民に厳しい対応をとることで、市民から一定の支持を得てきた。(出所:朝日新聞

 同じように戦禍から逃れてきたのに、二重基準とも言えるこの対応の違いはどこにあるのかと朝日新聞はいう。

利己的な米国との意見も

 多くの国のリーダーがプーチン大統領を糾弾していると多くの国際報道が伝えるが、すべての報道がそうではないという。

 クーリエジャポンは、英ガーディアン紙による違う見方をする報道を紹介している。

「プーチンは犠牲者だ」世界には親ロシア目線でウクライナ侵攻を報じる国がこれほどある | これはアメリカが引き起こした危機 | クーリエ・ジャポン

 クーリエジャポンによれば、南アフリカの主要な新聞である「デイリー・マーベリック」は「ウクライナ侵攻に対する西側の対応は偽善的だったか? 紛れもなくイエスだ」と論じた上で、プーチンの「主権国家に対する不当かつ違法な猛攻」も非難したという。

 

 

ベネズエラの評論家、アルベルト・アランギベルは、プーチンによる侵攻を「必要な戦争だった」と語っている。また中国人学者の王朔(ワン・シュオ)は、今回の出来事は「アメリカが作り出した危機」だと指摘。「アメリカの戦略的利己主義が世界にさらなる災いをもたらした」と同氏は中国政府系の新聞「環球時報」に語り、ウクライナを戦争に巻き込んだワシントンの「利己的で短絡的な行動」を非難した。(出所:クーリエジャポン

「米国は利己的」と報じる中国の報道もまんざら外れてはいないのかもしれない。もう少し他者を思いやる気持ちがあれば、ロシアの軍事侵攻を押しとどめることはできたのかもしれない。

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 間違いなく今回のプーチン大統領の行動は暴挙でいっていいのだろう。一方、それに対する欧米の行動は一見「理」に適っていそうに見える。ただ、常日ごろ、まごころと思いやりの精神を貫いていたのかと問えば、そこには疑念が残る。

 暴挙は許し難いことではあるけれど、プーチン大統領が暴挙に出ざるを得なくなったのは、欧米の傲慢さと言えなくもないのだろう。

 結局、人は何か問題を抱えているということなのかもしれない。だからこそ常に正しきことを追求していかねばならないのだろう。そして、何よりも重要なことはその過程、プロセスなのだろう。

 誰もが完璧でないからこそ、SDGsで「誰一人取り残さない」という精神が生まれ、ESGによって規制しようとするのだろう。

 この惨事を通して、どれだけ理想に近づいていけるのか、その道を追求していくことが求められている。