Up Cycle Circular’s diary

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業務用小麦粉が値上げ、止まりそうにない値上げラッシュ、自前主義に徹する業務スーパー

 

 業務用小麦粉が値上げになるという。値上げラッシュに拍車がかかるのだろうか。

日清製粉やニップン、昭和産業などが6月から値上げする。政府の売り渡し価格の引き上げが理由という。海外産の小麦は政府が一括輸入している。

 主産地の北米では不作、これにウクライナ危機による供給懸念から国際価格の上昇が加わり、政府は製粉会社へ売り渡す輸入小麦の価格を17%余り引き上げた。

日清製粉、業務用小麦粉を値上げ: 日本経済新聞

 パンやうどんに、菓子などの様々な食品の原料となる小麦粉、日清製粉の値上げは21年6月から3回連続という。

 

 

円安はほんとうにプラスなのか

 この値上げに円安が加わっている。円安は輸入価格を押し上げる働きをすうる。こうした状況にもかかわらず、日銀の黒田総裁は「円安は日本にとってプラス」と連呼する。いまいち釈然としない。

コラム:総論賛成・各論反対に陥りやすい円安議論、二極化助長する相場現象=唐鎌大輔氏 | ロイター

 コロナ禍以前であれば、円安はインバウンド需要を生み、意味あったのかもしれない。しかし、今ではその需要も蒸発し、円安メリットは一部輸出関連企業の利益改善に限られるようになっている。確かにメリットはあるのかもしれないが、為替による益であって、本業でマーケットシャアを伸ばしたとか、生産性改善に利益改善よるものではないのだろう。悪く言えば、あぶく銭で得た益である。企業努力によって安定して得られるようになった益であれば、従業員への還元はあるのかもしれないが、そうでなければ、違った使途に回るの関の山なのかもしれない。

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業務スーパーの自前主義

 業務スーパーの創業者のユニークの取り組みをテレ朝ニュースが伝える。ウクライナ危機もあって、日本で危険なのはエネルギーと食料の自給率の低さを創業者の沼田氏は指摘し、その改善に自製化推進という独自の手法で取り組んでいるという。

業務スーパー創業者が掘り起こす“世界3位”の資源|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

 地熱発電を活用し、この2つのリスクを解決するという。

シジミに、東南アジア原産のオニテナガエビ。南国の果物などを熱水で育てるための研究が進められています。(出所:テレ朝ニュース)

「熱水は地球の恵みなので、それでできるだけ食料自給率を上げたい。ここの面積の数百倍のもの養殖・栽培が簡単にできます」と沼田氏は述べている。

 

 

 地熱開発では、「業務スーパー」の経営哲学「必要なものは自分たちでつくる」に則り、掘削機械を自社開発し、自前で作ったという。巨大なやぐらを組まずに掘削することが可能で、調査時間の短縮につながったそうだ。

業務スーパーの)アジフライも、白身フライも、うずら卵もすべて、自社開発商品になっております。(出所:テレ朝ニュース)

 業務スーパーは国内に25カ所の工場を持ち、自分たちで商品を製造して、低コスト化を実現しているという。さらに売り場の冷凍ケースまで自分たちで設計し、出荷された商品が、ひと箱そのまま入り、何度も補充する手間がないよう工夫されているという。

 輸入に頼らなければ、円安の影響も受けることなく安定調達に寄与するのだろう。それに加えて、自社開発して、自社で生産すれば、それだけ利益の源泉は増える。各々の商品の開発と生産で効率化が進み、生産性を向上できれば、その益は自分たちに還元される。 

 これまではグローバリゼーションの名の下、国際分業を進め、それをつなぐ効率的なサプライチェーンを構築することが求められていた。しかし、円安である。海外で作り、それを輸入すれば、円安分高くつくことになる。このご時勢である、業務スーパーのように自前主義に立ち戻るのもいいのかもしれない。