Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

温室効果ガス排出量が7年連続で減少しても、エネルギー価格の高騰は続く

 

 歴史に「もしも」はないというが、もっと早くから脱炭素政策を進めていれば、今、エネルギーのことで、こんなに右往左往することもなかったのだろうかと思ってしまう。

エネルギー高騰と苦しい大手電力の懐事情

 緊迫化する国際情勢で、エネルギー価格が高騰し、新電力の撤退や休止が相次いでいる。そうした中、大手電力会社の多くが、企業など法人向けの新規契約を事実上停止しているという。

 朝日新聞によれば、燃料価格が高騰し、電力の調達コストが上昇しているためだという。大手電力も余裕はなく、赤字で電気を売る事態を避けようとしているそうだ。

大手電力4社、新規法人契約を事実上ストップ 燃料高騰で赤字懸念 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

北陸電力は「新電力から戻ってくる分は断っている。市場から電力を調達すると価格的にメリットがある提案ができない」と理由を説明。四国電力は「ウクライナ情勢が不透明で、適正な価格設定や十分な供給力の確保ができない」としている。(出所:朝日新聞

 交渉には応じるものの、割高な価格を提示して契約に至らないケースがあるという。企業活動への影響はないのだろうか。

 

 

電源構成を見直すときなのか

 緊迫化した国際情勢下において脱ロシアを進めていけば、エネルギー価格の高騰は避けられず、さらなるコスト高につながるのだろう。それに加え、供給力が不足するようであれば、需給バランスがくずれ、大規模な計画停電も避け得なくなる。

 エネルギーは国の基幹だ。経済制裁が必要なことは理解できても、それによってエネルギー危機に発展するようであれば、本末転倒になってしまう。家計への負担が最小化できる現時点での最適な電源構成 エネルギーミックスを示さず、説明もなく価格高騰が続くようであれば、納得ができなくなるのではなかろうか。

 進捗を企業任せにするのでなく、国のエネルギー計画の見直しが迫られているのかもしれない。

温室効果ガス排出量は7年連続で減少

 環境省が2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量を公表した。それによると、2020年度の温室効果ガスの総排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で11億5,000万トンとなり、前年度比5.1%減になったという。また、森林等による吸収量は、4,450万トンとなり、「総排出量」から「森林等の吸収源対策による吸収量」を引くと、11億600万トンで、前年度から6,000万トン減少したそうだ。2013年度総排出量比21.5%(3億360万トン)の減少となったという。

 

 

環境省_2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

 環境省によると、前年度からの減少要因は、新型コロナの感染拡大に起因する製造業の生産量の減少、旅客及び貨物輸送量の減少等に伴うエネルギー消費量の減少等が挙げられるという。

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(資料:環境省「2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要」

 2020年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は19.8%となり、前年度から
1.6ポイント増加したそうだ。原子力は3.9%で前年度から2.3ポイント減少、火力は76.3%で前年度から0.7ポイント増加しているという。

 2020年度のデータというが、まだ火力発電に76%あまり頼っている。この比率を下げられるようになれば、温室効果ガスの排出量もさらに減少し、電力の価格高騰に歯止めをかけられることができるようになるのだろう。