Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

食料インフレに立ち向かう、日清食品のパーム油代替を使った麺、培養ステーキ肉

 

 次か次へと要因が加わり、パーム油相場が急騰し続けている。これにパーム油最大の生産国のインドネシアが禁輸するというのだから、さらに高騰する可能性もあるのだろう。この1年間でパーム油の先物は1.5倍以上になっているという。

 そんな中でも朗報はあるものだ。即効性のある対策にはならないが、日清食品ホールディングスが、「食用代替パーム油」を使った油揚げ麺の作製に成功した発表した。

世界初! 油脂酵母由来「食用代替パーム油」を使った油揚げ麺の作製に成功! ~ 未来を見据えた新しい資源調達の第一歩 ~ | 日清食品グループ

 パーム油は用途は幅広く、食品や日用品など多岐にわたる。しかし、日本の油脂資源の自給率は低く、その多くの輸入に頼らざるを得ない。

 日清食品グループもインスタントラーメンなど油揚げ麺を製造販売する関係上、パーム油の使用量が非常に多いという。そうした背景もあって、微生物を用いたパーム油代替の検討が始まったそうだ。

 

 

酵母から作る食用代替パーム油

藻類から油をつくることも含め調査、検討した結果、油脂酵母にターゲットを絞ったという。その中で、パーム油と類似した脂肪酸組成の油を産生する株に着目し、その研究の第一人者である新潟薬科大学の高久洋暁教授との共同研究が始まったという。

油脂酵母が生産する酵母油は、アブラヤシから採れる植物油でインスタントラーメンを含む食品の製造に広く使用されているパーム油と非常に近い脂肪酸組成を持っています。

また、広大な土地を必要とせずにタンク培養で油脂を生産でき、気候の影響も受けずに安定供給することが可能であるため、パーム油に代わる資源 (食用代替パーム油) として期待されています。(出所:日清食品ホールディングス

 この「食用代替パーム油」で試作した油揚げ麺は、麺のプロフェッショナルが評価しても、味、香り、食感などでパーム油で作製した油揚げ麺と同等の結果となったという。

(写真:日清食品ホールディングス

今後は、工場での生産を想定した「食用代替パーム油」製造法の確立と実用化を目指すという。

 

 

培養ステーキ肉

 この他にも日清食品ホールディングスは、食べられる「培養ステーキ肉」の実用化に向け研究を重ね、日本で初めて「食べられる培養肉」を作製し、その試食を研究関係者らによって行ったという。

日本初!「食べられる培養肉」の作製に成功 肉本来の味や食感を持つ「培養ステーキ肉」の実用化に向けて前進 | 日清食品グループ

(写真:日清食品ホールディングス

 日本経済新聞によれば、2分間ゆでた培養肉を食べた共同開発した東大の竹内教授は「食感はしっかりしていてかみごたえがある。牛肉の味そのものではないが、細胞からくるものなのか、うま味があった」と話したという。

日清と東大、「食べられる」培養肉: 日本経済新聞

培養肉には肉の味を構成する脂肪分や鉄分が入っていない。味の評価が可能になったことで、肉本来の風味を再現する研究が進むという。

牛以外にも豚や鶏の細胞を使った培養肉の作製も視野に入れる。(出所:日本経済新聞

 

 

 インスタントラーメンにしろ、カップ麺にしろ、その生みの親は日清食品である。その時々の食糧事情があって、新しいものの発明があったのだろう。この時代にあった食の革命、イノベーション、実際にそれが実用化され、普及させることを日清食品に進めてもらいたいと願ってしまう。

 こうした研究成果にふれると、いよいよバイオテクノロジーの時代が到来したと感じる。

 

「参考文書」

研究室からステーキ肉をつくる。 | 日清食品グループ

日清食品HD、代替パーム油で油揚げ麺を開発、“麺のプロも認める味”に|食品産業新聞社ニュースWEB

パーム油があおる食料インフレ ESGもハードルに: 日本経済新聞