Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

注目されるサステナブル素材、ポリ乳酸、セルロース、注意したいその原料

 

 デジタル化が進展しているのだろうか。製紙会社はそれによって生じるペーパーレス化を危惧し、生き残りを賭けて、既存の強みを活かそうとする。受け入れがたいが、避け得ないことなのかもしれない。紙製品は多種多様でなくなることはないのだろうが、ペーパーレス化が進めば、設備の稼働率は低下し、稼働率を維持させるためには新製品が必要不可欠になる。

注目集まるPLAポリ乳酸

 王子ホールディングスは、紙の原料でもあるパルプを活用して、バイオプラスチックスの一種、PLAポリ乳酸の量産を目指しているという。実証プラントで量産の可能性を確認し、2025年の量産化が目標という。

 通常PLAは、可食物であるサトウキビやトウモロコシなどの糖を活用して製造されるが、王子はパルプの成分であるセルロースを使うそうだ。

 「ポリ乳酸」の性質に注目が集まるようになり、その利用が始まっているようだ。一般に「ポリ乳酸」は生分解性があるといわれ、燃焼時の二酸化炭素の排出も少ないといわれる。

 繊維として、また食器やコーヒータンブラーなどのプラスチック製品に活用され始めているそうだ。

 

 

 バイオマスプラスチックスは、脱化石燃料に貢献でき、環境に優しいのかもしれないが、一方で、場合によっては食糧危機を助長しかねない。可食物がそのまま原料に使用されれば、ただでさえ高騰する食料品を圧迫しかねない。残渣のみの活用が望まれる。

 それに対して、木であれば、食糧とかぶることはなそうだ。それでも、木材においてもロシア材の輸入規制もあり、障壁は増えているのかもしれない。

kinari パナソニックセルロースを利用したバイオプラ

 パナソニックは、間伐材などから精製したパルプを主原料とするバイオマスプラスチックスを開発、それを利用、加工した製品の販売を始めた。

(写真:パナソニック

 この製品は、セルロースファイバーを55%含有し、石油由来の樹脂使用量を削減しているという。大阪府八尾市のふるさと納税返礼品に採用され5月初旬から選べるそうだ。また、量販店や通信販売にて発売するという。

kinari - 成形ソリューション - 事業内容 - パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 - Panasonic

 これに加え、パナソニックバイオマス度を90%にアップさせたプラスチックスの開発に成功したと公表した。これまでの「kinari」に使われていたPP ポリプロピレン樹脂を、サトウキビの搾りかす廃糖蜜から作られるバイオポリエチレンに変えて、バイオマス度90%を達成したという。

 パナソニックによれば、この先、家電筐体や車載機構部材、服飾衣料品や日用品、また飲料・食品容器等への展開を進めていくそうだ。

 家電メーカがバイオマスプラスチックス原料を製造・販売するというのは、意外ではあるが、脱炭素を目指し、様々な制約が生じるこれからは、こうした業界を超えた開発が進んでいくのかもしれない。

 

 

 脱炭素で脱石油が進んでいくことはいいことなのだろう。ただ、それによって別の資源の争奪が起こり、またそれが危機の引き金を引くようであれば、意味をなさない。これからは素材・原料まで目配りした商品開発が求められていくのだろう。

 

「参考文書」

パナソニック プロダクションエンジニアリングとケーワールドismの共同開発 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan

パイナップル、コーヒーかす、漁網から生まれた「プラ代替」「アップサイクル」素材の今:サステナEXPO春 | Business Insider Japan

バイオプラで出遅れた日本 新技術を生かして好循環をつくれ | 日経クロステック(xTECH)

地球に優しい、環境配慮型製品 | 主なイノベーションのご紹介 | イノベーション推進 | 王子ホールディングス