世の中には様々な社会課題がある。ほんの少し前までは、気候変動の問題やSDGsの実現が大きな課題として認識されていた。今ではそれに新たな課題が加わっているのかもしれない。
色々なモノの値段が高騰している。モノの値が上がれば、その影響は様々なところまで波及していく。物価対策が喫緊の社会課題ではないかと感じる。
様々な因子が組み合わさることで、物価は高騰するのだろう。その要因ごとに対策を打たなければ、いつまでも高騰を続けることになってしまう。それでは、SDGsが掲げる様々な目標に影響してしまうのだろう。
食用油の原料高騰が理由で、業界大手の「J‐オイルミルズ」が、赤字転落したという。過去数度にわたって値上げしたに関わらず、それでは補いない切れなかったという。
食用油大手 J‐オイルミルズ 昨年度決算 原料高で初の営業赤字 | NHK
J‐オイルミルズの昨年度のグループ全体の決算は売り上げが2015億円で、主力の食用油を5回にわたり値上げしたことなどから前の年度より22%増えました。ただ、本業のもうけを示す営業損益は、大豆や菜種などの原材料や輸送費の高騰といった急激なコストの上昇の影響を一連の値上げ分では補いきれなかったことから2100万円の赤字となりました。(出所:NHK)
今年度は、販売価格の見直しや経費削減強化などで10億円の営業黒字を確保する見込みという。
こうした状況が続けば、なかなか給与水準をあげていくことは難しくなるのではなかろう。そればかりでなく、値上げもまだまだ続く可能性があるということであろうか。
垂直統合を目指す、日本電産
EV電気自動車などに使用されるモーターを製造販売する日本電産も御多分にもれず、半導体不足に苦しみ、2022年1~3月期は営業赤字になったという。
日本電産、半導体安定調達・内製化に向け専門組織を設立 | 日経クロステック(xTECH)
長引く半導体不足に対応するため、主要半導体の内製化(開発・製造委託を含む)に取り組むため、「半導体ソリューションセンター」を設立するそうだ。
半導体メーカと強固なパートナーシップを構築し、地政学リスク等の有事に備えて、グループ内調達を含むサステナブルな半導体サプライチェーンの確立するという。
これで「垂直統合」ができると、日本電産の最高執行責任者は述べたという。 製造業が原点回帰していくことになるのだろうか。永守CEOは、地球環境の保全にも貢献し、また企業価値を向上させていくと述べたそうだ。
製造業の発展の歴史は分業の歴史といっていいのかもしれない。一人で何役をこなしていれば、効率的かもしれないが、増産には対応することはできない。増産し、売上を伸ばすために、社内で分業を進め、様々な部門ができ専業化することで効率化を図った。そして、その一部を分社独立させ、他社からも受注することで、効率化を図っていく。そうしていつしか国際分業が進むようになり、現代のグローバルサプライチェーンに行きついた。
そうした中にあって、米アップルのように、ODM、ファウンドリーなどサプライヤーと不可分の協業の関係を築き、互いに成長、発展を遂げた。
行き過ぎた水平分業で現下のような苦しい状況になっているのなら、ボトルネックを内製化し、垂直統合に戻すことで問題は解決に向かうのかもしれない。
他の業界に広がることはあるのだろうか。
「参考文書」