木材の自給率が41.8%まで回復したといいます。TSR東京商工リサーチによると、2020年の10年連続で上昇し、40%を超えるのは、1972年の42.7%以来、48年ぶりといいます。
ウッドショックで岐路に立つ国内林業 、「伐採」と「再造林の循環」の両立が鍵 : 東京商工リサーチ
コロナ渦からの回復で、世界的に木材が不足となり価格が高騰、ウッドショックが起きました。国際情勢が緊迫化し、ロシア産木材が禁輸となっています。今後も木材の自給率は高止まりするとの見方が支配的のようです。それでも国内の林業が再興するにはまだ課題も多くあるといいます。
しかし、木材の国産化の流れができれば、その流れに乗っていち早く事業化しようとの動きが生じたりします。
栃木県足利市では、林業に携わる地元業者らが、地元産の木材を活用する「ジモトの木」プロジェクトを立ち上げたといいます。
【地方に勝機】ウッドショック機に「ジモトの木」へ 足利の林業者らがプロジェクト発足 - 産経ニュース
目指すのは、地産地消、地元の森で生まれた木を使い、地元の人が作り、地元で使い、地元の森や産業が元気になり、地元をもっと好きになっていくことといいます。
足利市の場合、市面積の45%を森林が占め、林業と製材業、家具製造販売といった木材のサプライチェーン(供給網)はそろっている。プロジェクトは、その川上から川下までの各部門を担う事業者が連携し、地元産木材を利用した新製品の開発などを資材調達から製品化まで一気通貫で行おうという試み (出所:産経新聞)
産経新聞によれば、「ジモトの木」プロジェクトに参加するのは、木材伐採業「萩原林業」と製材業「マルトツ」、家具製造販売業「昭栄家具センター」、これに地元のデザイナーも加わっているそうです。
九州では、国産木材を活用するための総合木材会社MEC Industry(メックインダストリー)の鹿児島湧水工場が6月から稼働を始めたといいます。
「日本の近代史を切り開いた鹿児島県から革新的なイノベーションを起こしていきたい」、工場完成の記念式典で、吉田社長はそう話したそうです。
生産した建材を海外に輸出することも視野に入れており、アジア各国に近い地で操業したといいます。
平屋住宅が2割安、1200万円 鹿児島で国産木材加工工場始動 - 産経ニュース
この工場は製材、製造、加工までの一連の機能を有しているといいます。また、会社は三菱地所や竹中工務店などが出資して設立され、販売までを含めた一気通貫で事業を担うことができるそうです。
販売されるメックインダストリーの木造住宅は、あらかじめ間取りが決められた規格型の平屋住宅で、広さは約100平方メートル、1棟の価格は1200万円程度(税別)になるといいます。一般的な低価格戸建て住宅より2割程度安価に提供できるそうです。それは生産性に優れた工場を持ち、なおかつ自社販売することによるメリットといいます。
日本は、国土の約7割が森林になっているといいます。ただ、その森林は手入れをしないと荒廃が進み、土砂災害などのリスクが大きくなります。また、森林が歳をとればCO2の吸収量も低下します。
産経新聞によれば、林野庁の担当者は「森林を『伐採して使い、また植える』という循環を拡大させることは、森林の維持に不可欠」といい、民間主導の国産材活用に期待を寄せるそうです。
今日6月5日は環境の日です。こうしたことが起点となり、ビジネス事例が増え、地球を救うことにつながっていけばいいのではないでしょうか。
「参考文書」