掛け声ばかりで進まなかったものでさえ、時ときともに環境が少しづつ整えば、前進することがあるということでしょうか。最近に耳にするDX デジタルトランスフォーメーションは、その例なのかもしれません。
スマートシティ構想が起こり、やがて「Society5.0」へと発展し、それぞれが死語になたわけではないのでしょうが、それがデジタルに置き換わり、DX「企業の変革力」に変わってきたようにも感じます。今ではさかんにDXが語れるようになっています。
「そんなのDXではない」は禁句、顧客視点の変革に向け経営者と技術者は対話を | 日経クロステック(xTECH)
「脱成長」や「低成長」を寛容していこうとの考えもあるようですが、「停滞」しているよりは「成長」している方が、社会に活気があっていいのではないかと思えたりもします。
価値観を根本的に変えるには、それなりの覚悟と我慢が強いられますが、アップデートなら、努力と忍耐で乗り越えることができるのではないでしょうか。
ほんの数年前までは、既存事業の限界を悟り、新規事業への新陳代謝を目指したいと考えても、企業の中ではなかなか取り合ってもらえなかったものです。理由はすこぶる簡単で、短期的に赤字になり、売上も利益も期待できないからということでした。
しかし、それでは停滞に陥るのが関の山です。多くの企業が長くそうした状態にあったのかもしれません。
そんな時代にあって、ソニーは平井氏が社長であった当時、「SAP:シード・アクセラレーション・プログラム」を始めたといいます。
イノベーションを日本から! 依頼が集まるソニー発スタートアップ支援の中身 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
社内にあった不満、挑戦への情熱を何とかしたいと平井前社長が感じたことが始まりと言います。こうしたことがきっかけとなっており、ソニーは元気を取り戻します。ペットロボット「aibo」が復活したり、様々な新商品やサービスが再び登場するようになりました。
卓越したリーダーのもと変革は起きるのでしょうが、そうでなくても、社会が変化を求めるようになれば、必然、企業もそろりそろりと変化を始め、いずれに変革と呼ばれる大きな変化につながっていくこともあるのではないでしょうか。
エレクトロニクスや電子機器、情報技術の業界団体「JEITA 電子情報技術産業協会」の新会長に富士通の時田社長が就任し、記者会見でDXについて言及したそうです。
「社会のデジタルトランスフォーメーションを加速させていくために、『デジタル産業の業界団体』として、期待に応え、責務を果たしていきたい」。
JEITA新会長に富士通の時田社長が就任、「グリーントランスフォーメーション」「人材育成」「半導体」に注力 - INTERNET Watch
「この先のデジタル化の地殻変動となるのは、カーボンニュートラルである」とし、必要なことは、グリーンとデジタルを組み合わせることであり、『グリーントランスフォーメーション』が求められている」と語ったそうです。
「Green×Digitalコンソーシアム」を立ち上げ、デジタル技術を活用した「サプライチェーン上のCO2排出量の見える化」を進めるといいます。
理想の姿は、デジタル技術を駆使して、サプライチェーンの各プロセスでのエネルギー消費に伴うCO2排出量の実績データが、自動的にデータ共有基盤に蓄積され、グローバルに広がるサプライチェーンのCO2排出量を正確に把握できるようになる状態である。(出所:INTERNET Watch)
社会全体の脱炭素化につなげていくため、みなが同じ基盤のサプライチェーンのCO2を見える化を共有し、それぞれがそれぞれに適正に運用管理し、そのために事業活動を継続的に見直し改善していけば、やがて企業の変革につながっていくのかもしれません。
JEITAは「グリーントランスフォーメーション」の他にも、「人材育成」「半導体」に、重点的に取り組むそうです。
「カーボンニュートラル」、脱炭素という言葉を起点として、これまでになく社会の変化が起きつつあるように感じます。これを機会としていかなければならないのでしょう。自社の利益のことばかりに目が奪われると、挑戦から遠退いてしまうのかもしれません。社会の大きな課題の解決に向かえば、そこからまた成長が始まるのではないでしょうか。歴史もまたそれを証明しているのではないでしょうか。
「参考文書」