Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

脱炭素にデジタル、その加速に求められるスタートアップ、整うエコシステム

 

 スタートアップ、起業、そんな言葉を頻繁にニュースでも耳にするようになりました。その発信源の筆頭は政府なのかもしれませんが、DeNA(ディー・エヌ・エ)の創業者で代表取締役会長の南場智子氏もそのひとりのようです。経団連副会長として、スタートアップ振興をリードし、自身でも「デライト・ベンチャーズ」を率いています。日本の起業家が成長し、グローバルで活躍するのを全力で支援するのがベンチャーキャピタル「デライト・ベンチャーズ」の役割といいます。

 起業環境は以前に比べればよくなっているのかもしれませんが、「デライト・ベンチャーズ」は、さらに日本のスタートアップ・エコシステムを活性化させるといいます。

 

 

ハードウェア 脱炭素に求められるもの

 スタートアップ企業と投資家によるカンファレンス「B Dash Camp2022 Summer in 札幌」が6月1日に開催されたそうです。FNNは、このカンファレンスの「徹底討論!日本が投資すべき気候テクノロジーは何か」というセッションをレポートしています。

「日本は20年遅れることになる」脱炭素テクノロジーの勝ち筋を起業家が提言

 記事によれば、スタートアップ業界のトレンドは、Web3やメタバースで、脱炭素のような環境領域を志す起業家はかなり少数と指摘しています。

 このセッションに登壇したENECHANGE代表取締役の城口洋平氏は、「メタバースではなく地球上で仕事をする人にとっては、この領域(脱炭素)で起業し、何かを一生懸命やっていれば、時価総額1000億円くらいの会社を作る事は十分可能なのです」と述べ、「日本はハードが分かる人がベンチャー業界に少なく、デジタルが中心ですが、デジタルだけでは脱炭素ベンチャーは作れません」と話しています。

たとえば「CO2を吸収する」「街中を流れる小川で発電する水力発電」「EVのワイヤレス給電」など、事例はいくらでも出てくるのですが、いずれも製品としての見た目は「ハード8割デジタル2割」となり、もちろんデジタルも超重要な要素になります。どちらも一社でできる会社は日本からは生まれにくいので、ベンチャーがデジタルを担当しハードは大企業など、日本型のハイブリットモデルを作らねばなりません。(出所:FNNプライムオンライン)

 

 

 声の大きいものに流されて雰囲気が形成されます。デジタル、デジタルの風潮ですが、デジタルだけで解決できない課題もあるのでしょう。

デジタルが生み出す煩雑さを解消するために

 そういっても、デジタルはデジタルで進めなければ、企業のお困りごとは解決されず、効率化、生産性は改善しません。

 たとえば、「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」。クラウド上の「SaaS」は便利である一方、運用やコスト管理面で見えにくく、サービスの種類や利用者が増えると、管理はさらに複雑になるといいます。

 こうした煩雑さの解消も起業の種になり得るといいます。zooba(ズーバ)というスタートアップはこのSaaS管理サービスの提供を目的として起業されました。この起業を前出「デライト・ベンチャーズ」が支援しています。

情シスから独立して起業、そんなキャリアが「普通」になる日 | 日経クロステック(xTECH)

SaaS管理については工数を取られていたので、課題が明確に見えていたが、それ以外にもIT部門には起業の種が多く存在しているのではないか」と、zoobaの代表名和氏はいいます。

(画像:デライトベンチャーズ

普段の仕事の中に、起業の種は実はけっこうあるのかもしれない。(出所:日経XTECH)

 効率化、生産性の追求は、ある事象に対して改善される反面、時に、新たな非効率さを生み出すこともあります。zoobaのSaaS管理もその例と言ってもいいのかもしれません。

 

 

 社会情勢が変化し、半導体不足が生じ、半導体の内製化を始める企業があります。DX デジタルトランスフォーメーションが叫ばれ、今まで外部委託していた社内システムの開発を内製化する企業もあります。こうした内製化も効率的な面と非効率さの両面があるのでしょう。

 過去を振り返れば、垂直統合型の企業がその後水平分業へとシフトしました。それは分業の方が効率的だったからでしょう。そして、そこから様々な産業が起きることになります。やはり、起業の種は、そこら中にあるということなのかもしれません。

 

「参考文書」

デライト・ベンチャーズの「ベンチャー・ビルダー」より経産省の出向起業等創出支援事業に2社が採択|株式会社デライト・ベンチャーズのプレスリリース