Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

初期費用「ゼロ」でEV充電器を設置できるキャンペーンで、サスティナビリティは実現するのだろうか

 

 東証に上場する「ENECHANGE(エネチェンジ)」という企業が、EV 電気自動車の充電サービスに最大300億円を投資して2027年までにEV充電器3万台を設置すると発表したといいます。

新EV充電ブランド「ENECHANGE EV CHARGE」で 2027年までに3万台設置に向け最大300億円を投資 | ENECHANGE株式会社

 新型の台湾製の普通充電器を新たにラインアップ、希望者にこの充電器を無料で設置するというキャンペーンも行うといいます。

 EVsmartブログによると、「いまならEV充電設備を0円で導入可能!」と謳う広告バナーまでが発表会場に掲示されていたそうです。

(写真:ENECHANGE)

ビジネスモデルとしては、設置後の利用料金で収益を出していく計画だ。同社としては当面、赤字を抱えることになるが、「目的地充電」のマーケット拡大をにらんだ先行投資という位置付け。(出所:EVsmartブログ)

 0円というのは設置者にとって魅力的ですが、このキャンペーンに参加すると、充電器利用者に課金される料金はエネチェンジの収益となり、設置者へ料金還元はないといいます。実際の充電に掛かる電力料金は設置者が負担することになるそうです。

 

 

 EVシフトを加速させようと、自動車メーカも新型EVを相次いで投入しています。日産「サクラ」や三菱「eKクロス EV」は、既に1万4000台以上を受注しているそうです。

 日本全国に設置されている充電器総数は急速充電器も含めてまだ2万台弱といいます。現実にEVが販売が伸長すれば、充電網の拡充は急務ということなのでしょう。

これに加え、2013年以降設置された設備が更新期を迎えている影響で、全国の充電器が急減する可能性もあるそうです。今すぐに、新規の設置に取り掛からなければならない状況と記事は指摘します。

「エネチェンジ」がEV充電インフラ戦略を発表〜倍速(6kW)普通充電器を無料で3万台設置へ - EVsmartブログ

 EVを普及させなければならないのに充電器は減っていく、この矛盾を解決するため、エネチェンジはこのビジネスを始めたということなのでしょう。

充電器減少に歯止めをかけたい、という同社の姿勢には社会的意義を感じられるし、EVユーザーとしても、ほんとうにありがたい。3万台といわず、6万台でも9万台でも増えてほしい。(出所:EVsmartブログ)

 エネチェンジの公式発表においても、率先してEV充電設備のインフラを整備することで、地域社会への貢献やSDGs地球温暖化防止への取り組みに積極的な活動をしている企業としての認知向上などにもつながるといいます。

 

 

 ただ初期費用がゼロだからといっても経費がかかるモデルで普及していくのでしょうか。確かに意義あるものなのかもしれませんが、設置側にはあまり持続的ではないように見えてしまいます。こうしたことが真にSDGsの理念にかなうものなのでしょうか。

「日本でも少し前までは様々な場面でSDGsという言葉をたびたび耳にしたが、近ごろはそんな機会も減少ぎみ」と、NEWSポストセブンがいいます。

テレビ局が一斉に発信していた「SDGs」、最近見かけなくなった理由|NEWSポストセブン

民放の収入源である広告を出稿する企業は、本業で利益をあげるために存在しているものだが、現代では、大企業であればあるほど、社会の公器としての存在意義を示すことも求められる。利益追求しながら社会的意義にも貢献するには何をしたらよいのか、役立ちたい希望を持ちつつ、どうしたらよいのか判断も決断もしかねている企業は少なくない。(出所:NEWSポストセブン)

 その迷い道から抜け出すような役割を広告代理店が担うことがあると記事は指摘し、近年のSDGsブームの背景を解説しています。

 広告代理店だけでなくPR会社やありとあらゆる代理店がSDGs関連の企画を提げ、売り込みをかけ、テレビで組まれる特集などで一気に「SDGs」色が強めていった....、ところが、視聴者は「所詮、綺麗事だと見抜いていた」といいます。

 

 

 独り善がり、独善的になってしまえば、SDGsどころではないような気がします。それが問題なのでしょう。

 エネチェンジの件もまた然りではないでしょうか。

 参加する当事者すべてにとって便益がなければ、長続きすることはないのでしょう。停滞し、成長しない原因がそこにあると思えてなりません。

 

「参考文書」

エネチェンジEVチャージ|電気自動車の充電設備の導入から運用までまるっとサポート