値上げラッシュが続き、今後も収まる気配がないようです。日銀が2022年度の物価上昇率見通しを2%台に上方修正する方向で検討していることが明らかになったといいます。
物価目標を達成しそうですが、日銀は足元の物価上昇は、あくまでも原材料高が主因で持続性に乏しいとの見方を崩していないといいます。
22年度物価見通し、上方修正へ 「2%台」到達、緩和策は維持―日銀:時事ドットコム
JIJI.comによれば、黒田日銀総裁は「企業収益や雇用・賃金が増加し、物価の基調も緩やかに上昇する好循環を形成する必要がある」としており、大規模緩和策は継続する方向といいます。それを受け、海外ファンドが国債を売るという「攻撃」を日銀に仕掛けています。
こんな状況なのに、なぜ政策を変えることが出来ないのでしょか。
行政の無謬性神話という言葉があるそうです。日銀もまたこれに習ってのことなのでしょうか。
「なぜ政策判断がしばしば硬直化しがちなのか。変更すべき時に遅れがちなのはなぜなのか」。
「突き詰めると、行政の無謬性、という神話に行き当たるのではないでしょうか」と、牧島かれんデジタル相が日本経済新聞社のインタビューで答えています。
行政は「無謬神話」から脱却を 牧島かれんデジタル相: 日本経済新聞
「重い責任を負って政策に取り組むがゆえに、失敗を認めてはいけない、見直しも想定しない」という文化が霞が関にあるといいます。
行政が無謬であることは、それが真に実現すれば行政の安定性に寄与するものとして、我が国の行政に対する国民の期待と、それに応える行政の職員の自負の現れとして望ましい面でもあり得る。
しかし、行政が常に正確なデータを把握し全てにおいて無謬であるということは現実にはあり得ない。しかも、環境がめまぐるしく変化する時代には線形的な変化を前提とした対応が通用する場面が減り、その実現が容易でないことは四半世紀前に既に指摘されたとおりである。
(引用:行政改革推進会議「アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループ提言~行政の「無謬性神話」からの脱却に向けて~)
行政のDX デジタルトランスフォーメーションの推進役である牧島かれんデジタル相が行政改革推進会議で、この「無謬性神話」を乗り越えていくためには、制度改正などの作業が伴い、人材育成も欠かせないといっています。
ショッキングな事件がおきました。この報道を受けて、外為市場で円が急伸し、対ドルで、136円前半から135.33円まで大きく買われたといいます。市場では、株売りなどリスクオフの強まりを意識した円買いが一時強まったそうです。
正午のドルは135円半ば、安倍元首相銃撃で円急騰 | ロイター
「安倍氏が主導した日銀大規模緩和政策の変更を想起された面もあるかもしれない」と述べるトレーダーもいたといいます。不条理さを感じますが、これが現実なのでしょうか。
サマーズ元米財務長官が、アベノミクスについて言及し、「それ以前の基準からすれば成功だった」とした上で、「しかし、日本で起きていたことを考えれば、完全に『任務完了』となったわけではなかった」と述べたそうです。
アベノミクスの遺産、不況が再来すれば世界が研究する-サマーズ氏 - Bloomberg
長期政権が誕生し一時的な成功もあり、より「無謬性神話」を強めることになったということでしょうか。もうそろそろ「無謬性神話」を乗り越え、変えるべきことを変えるときになっているのかもしれません。