Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

循環型経済は実現するのか、ぐらつく信頼性、検査不正で国際認証を取り消される東レ

 

 大手繊維メーカの東レが、名古屋事業場と千葉工場のISO9001の認証が取り消されると発表しました。今年1月に公表したUL認証の登録における不正行為を受けてのことといいます。

品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001認証範囲の一部取り消しおよび一時停止について | ニュース一覧 | TORAY

 東洋紡、DIC、このところ化学メーカにおける同様のニュースがあり大変残念なことです。こうしたことが起きれば、取引先に多大な迷惑をかけることになるのではないでしょうか。東レはエンジニアプラスチックス関連が対象のようですが、合成繊維も扱うメーカだけに心配になります。

 ISO9001は品質保証の根幹をなす品質システムの認証制度です。

 東レ製繊維がユニクロヒートテックなどに使用されています。他の製品では問題ないことをきちんと精査して欲しいものです。

 

 

 大手繊維メーカの旭化成は、ファミリーマート伊藤忠商事伊藤忠プラスチックスとともに、ファミリーマート実店舗におけるPETボトルリサイクルのトレーサビリティシステムの実証実験を今年秋以降に行うと発表しました。

プラスチック資源循環プロジェクト「BLUE Plastics」においてファミリーマートの実店舗における実証実験の検討を開始 | 2022年度 | ニュース | 旭化成株式会社

 旭化成によれば、ブロックチェーン技術のトレーサビリティによって、消費者は、ファミリーマートの店頭に設置された回収箱に投入したPETボトルが回収後にリサイクルチェーンのどのプロセスにあるのかをスマホアプリで確認することができるといいます。

(資料:旭化成

 コンビニエンスストアを起点とするPETボトルのリサイクルチェーンの可視化が、消費者の行動変容・再生プラスチックの利活用促進に与える影響を調査し、トレーサビリティの価値を検証するの今回の目的といいます。また、こうした取り組みがサプライチェーンの透明性が確保され、不正防止にも役立っていけばいいのかもしれません。

 

 

 サーキュラーエコノミーを標榜する積水化学工業は、微生物によって可燃性ごみをエタノールに変換する「BRエタノール技術」の実証を岩手県久慈市で進めています。

可燃性ごみからエタノールを生成し、プラスチック製品に。積水化学工業のGXの推進力となるベンチャースピリット | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 Forbesによると、事業化に向けた最終段階の検証を行う段階になっているそうです。しかし、まだ課題もあり、国と連携した取り組みが必要といいます。

 カーボンクレジットにおける排出量の算出において、BRエタノールはどのように算出するかまだ決められておらず、そのためのルールづくりが欠かせないといいます。今後、排出削減量として認証されれば、さらなる利用促進が期待できるといいます。

(資料:積水化学工業

 循環型経済、「サーキュラーエコノミー」は自社だけで達成することはできません。

「ごみを集める自治体、産廃業者、精製したエタノールを樹脂(プラスチックス)にする化学メーカー、樹脂からできた袋などにプロダクトを詰めて売る消費財メーカー。そして、そうしたサステナブルな商品を選択して買い、どう捨てるかまで意識する消費者。さまざまなプレイヤーがつながって初めて、捨てたものがごみではなく資源となって循環していく」と積水化学はいいます。

 こうした循環の輪は信頼があって成り立つことではないでしょうか。不正はあってはならないはずです。信頼性を保証するためにも、今まで以上にトレーサビリティとその見える化、透明性を確保していく必要があるのかもしれません。少々残念な気もしますが、こうしたことで今一度信頼性を築き上げていかなければならないのでしょう。

 

「参考文書」

東レの2工場 樹脂製品の検査不正でISO認証取り消し | NHK