Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

貿易赤字、円安、気になる日銀の動向と、エネルギーと食の安全保障

 

 日銀が政策を変更せず、金融緩和を続けるようです。金融政策決定会合でそう確認されたそうです。黒田総裁の発言はどうなるのでしょうか。

 これまでの言質や日銀の施策から様々な憶測が飛び交います。あれだけ語っていた「円安は日本経済にとってプラス」との声はなくなりましたが、政策の方向に変化はなく、他国中央銀行との政策の違いが明確になり、俄然注目が集まるようになりました。良い方向に向かえばまだ救われるのかもしれませんが、日銀の窮地を伝える声が日増しに増えると心配の種になります。

行き詰まった日銀のイールドカーブ・コントロール | 2022年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

イールドカーブ・コントロール導入の目的は、2%の物価目標達成ではなく、こうした副作用(国債市場の流動性低下)の軽減を図ることだったと考えられる。

その「事実上の正常化策」までもが大きな副作用を新たに生むようになり、金融市場に混乱をもたらしているのが現状だろう。それは、金融政策全体の行き詰まりを象徴した動きともいえるのではないか。(出所:野村総合研究所

 さすがに中央銀行だけに、失態はあっては欲しくないのですが、どうなのでしょうか。上手に舵取りしていくことを祈らずにいられません。いずれにせよ、足下の円安トレンドには変化はないのでしょうか。

 

 

 財務省が発表した6月の貿易統計速報では、貿易収支が1兆3838億円の赤字だったといいます。また、輸入は初めて10兆円を超え、10兆0122億円になったそうです。

貿易収支6月は11カ月連続の赤字、資源高騰や円安影響 | ロイター

 ロイターによれば、原粗油や石炭、液化天然ガスなどの輸入が増え、17カ月連続の増加といいます。

地域別では、米国からの輸入は前年同月比25.2%増加し、16カ月連続のプラス。穀物類や石炭、石油製品などが寄与した。アジアからの輸入は半導体等電子部品や液化天然ガス、石炭などが寄与し36.0%増加した。(出所:ロイター)

 原材料高騰に円安、それに加えてロシアの影響といわれています。それにしても、エネルギーと食糧の輸入価格がここまで高騰していることを思い知らされ愕然とします。

 直ぐに実現できることではないにしろ、自給率を高めていくことが重要な課題と認識せざるを得ないのでしょう。円安トレンドは当面続き、強い円が戻ってくるは直ぐに期待できそうにありません。エネルギーの供給も急激に増えることもなく、食糧も同様ではないでしょうか。ロシアの態度に変化はなく、この状況が長引きそうなです。

 

 

 トヨタ自動車が、民間6社とともに「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」を設立し、カーボンニュートラル社会の実現に向け、バイオエタノール燃料製造の研究を開始すると発表しました。

民間6社による「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」を設立 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

 一義的にはカーボンニュートラルの実現という大きなテーマがあるのでしょうが、足下での燃料の高騰や供給不安も念頭にあるのでしょうか。

(画像:トヨタ自動車

 

米国のイエレン財務長官が、先日訪問した韓国ソウルで、グローバリゼーションに別れを告げるかのように、中国やロシアへの依存脱却に向け、国際供給網、グローバルサプライチェーンを再編すると表明したといいます。

経済秩序乱す国、許さぬ 供給網で「脱中ロ」―イエレン米財務長官:時事ドットコム

 特定の国に過度に依存した供給網は「ルールに基づく世界経済秩序を弱体化させる」と訴え、エネルギーや食料の供給を「武器化」しているとロシアなどを非難したといいます。

 こうした潮流に加えて、足下の現実を直視すれば、どれだけ自給化できるかが課題になるのではないでしょうか。エネルギーと食の安全保障を追求することと、その「サスティナビリティ」を追求することは同じ答えになるのかもしれません。