Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

エネルギー危機、経済安全保障、この時代に求められる「ESG」「SDGs」の意義とは

 

 ロシアがドイツへのガス供給を一段と削減するとの発表があったようです。通常から80%減となるといいます。

ロシア ドイツへの天然ガス さらに削減発表 本来の約80%減に | NHK | ドイツ

 またしてもロシアの暴挙といっても過言ではないのでしょう。ただこの状況が今すぐに改善することは期待できそうにもありません。日本もロシアに揺さぶりをかけられており、他人事ではなくっています。すでにエネルギー危機といわれる状況ですが、どこまで深刻化していくか気になります。

 冬に向け欧州のエネルギー備蓄に暗雲が垂れ込ているといいますが、欧州だけの問題ではないのかもしれません。

 

 

フレンドショアリングへの移行

 こうした地政学リスクの高まりを受け、米国はフレンドショアリングによって世界秩序を維持する方向にあるといいます。これまでのグローバリゼーションからの転換を意味し、経済構造を大きく変わるということになっていくのでしょうか。

 こうした変化が、ここまでに確定な価値となった「ESG」「SDGs」「カーボンニュートラル」にどんな影響を及ぼしていくのかも気になります。

 これらワードの意味することからすれば、今こそその本質を発揮すべきのように思いますが、実態はどうなっているのでしょうか。

ESG経営に求められてきたこと

「ESG」、社会問題や環境問題に積極的に取り組むことは企業として当たり前と考えるようになってきたと日本経済新聞は指摘します。

 昨今の地球温暖化の脅威増、社会問題の多様化などがこうした動きをさらに加速させているといいます。こうした経営環境の変化によって企業は戦略の再構築を迫られたといいます。

「ESG経営」成功の3つのポイント 花王やソニーに学ぶ: 日本経済新聞

 ESG経営に成功する企業は戦略を売り上げ重視なものから顧客満足度を重視したものへと変更し、また人材の評価も売り上げ重視のものから顧客満足度重視のものに変え、報酬体系も顧客満足度重視を鮮明にしたことで、現場の意識が変わっていったといいます。

顧客も、ESGに積極的ではない企業の製品・サービスを買わなくなる可能性があります。よほど差別化されていてニーズが強ければ話は別ですが、似たような製品・サービスであれば、「よりESGを実現している企業のものを買う」という消費者や企業が増えることが予想されます。(出所:日本経済新聞

 

 

米国ではBコープ認証が加速

 米国では、「B(ベネフィット)コーポレーション」の認証を得る動きも加速しているといいます。「Bコーポレーション」とは、ペンシルベニア州の非政府団体Bラボが、社会や環境、人権などを配慮して経営している企業に与える認証のことで、会社の社会的な有用性を表すといいます。

公益企業、資本主義を救うか 「株主第一」退潮へ: 日本経済新聞

 資本主義の先行きが混沌とするなか、「B企業」は救世主となれるかと日本経済新聞はいいます。

dsupplying.hatenablog.com

 こうした米国での変化は、ウォール街の高給職種に見られ、インベストメントバンカーから、ESG運用者に移り、「B(ベネフィット)の専門的な知見が不可欠」との声も聞くようになったといいます。

 このベネフィットとは、どんな意味があるのでしょうか。「公益」と日本経済新聞は捉えているようです。

 米国のビジネス・ラウンドテーブルが、2019年に脱・株主利益第一主義を宣言しました。しかし、株式会社である以上、株主の利益を考えないわけにはいきません。その利益を最大化することを追求することを諦める必要もないことではないはずです。

 ただそれだけではなく、それと同時に企業には、永続性と地域社会への貢献も求められているはずです。

 地域に貢献することとは、適正に税金を納め、地域の発展に貢献し、なおかつ継続的に地域に雇用を創出することが求められます。これらを忘れたのがこれまでのかもしれません。

 利益は顧客に有益な商品やサービスを、適正な価格で提供することによって得られることができます。こうした顧客への奉仕があってこそ、その対価を得ることができ、そこから利益を得ることができます。

 表層的に見える利益を得るという行為も、奉仕によって得るものと、利益のためのサービスではその質は当然ことなることにはならないでしょうか。最悪、利益のために顧客から搾取することすらあるのかもしれません。

 

 

 企業活動は元来ESGの考えに立脚したものであったはずです。しかし、いつしかただ利益を追求することのみに注力するあまり、他の大切なことが等閑にされたのかもしれません。そして利益のみを追求するあまりに、過度な競争となり、社会に歪みが生まれ、多くの課題が出現することになったのでしょう。

 地政学リスクの高まりもこうした歪みのひとつなのかもしれません。効率性と安さを追求するあまりに特定の地域や国に産業が過度に集中したことが弊害として顕在化したともいえそうです。

 今この時にあって、「ESG」、そして、「SDGs」の意義が問われていそうです。

 企業の利益はお客さまへの奉仕の対価からもたらされます。そのお客さまは社会の構成員です。お客様に奉仕することは社会への貢献にもつながっていかなければならないのでしょう。

 

「参考文書」

ロシアが欧州向け天然ガス供給を一段と削減へ、欧州ガス急騰 - Bloomberg

UPDATE 2-同盟国と通商強化し中国の「不公正な貿易慣行」阻止=米財務長官 | ロイター