Up Cycle Circular’s diary

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猛暑、懸念される発電所の夏バテ、電力逼迫解消に分散型電源

 

 暑いです。しばらく猛暑が続くといいます。早くも気が滅入りそうです。こう暑くなってくると、電力需給が心配になります。差し当たって注意報もないので、まだ大丈夫なのでしょうか。

 ただ発電所にも「夏バテ」があって、発電効率が低下するそうです。

火力・原子力「夏バテ」懸念 猛暑や水不足で出力減: 日本経済新聞

 天然ガスなどを使う火力発電所は燃えるガスが急激に膨らむ力で発電機を回すそうですが、気温が上がると大気が膨張して酸素濃度が減り、ガスが燃えにくくなるといいます。

たとえば東北電力の東新潟火力発電所4号系列(新潟県聖籠町)は気温が30度になると、4度の場合より出力が1割も減る。(出所:日本経済新聞

「火力や原子力に頼るエネルギー構造は温暖化の影響を受けやすい」と日本経済新聞はいいます。

 

 

重要度が増す再エネと蓄電技術

 昨今の国際情勢を鑑みれば、再生可能エネルギーが重要ということなのでしょうか。

今世紀末には出力減を補うために世界で大型発電所200基分に相当する2億キロワットの追加電源が必要との試算もある。(出所:日本経済新聞

 まして、現在主となっているLNG発電は、どちらかといえば需給変動対応に不向きといわれます。燃料が大量貯蔵に適さず、長い調達リードタイムの問題があるためといいます。

 そのためには、不安定な再生可能エネルギーを有効活用するため、蓄電池技術の開発や送電網の整備などを着実に進める必要があるそうです。

蓄熱発電

 蓄電技術のひとつに「蓄熱発電」があるといいます。工場などから出てくる排熱を回収・保存して再利用したり、余剰になった再生可能エネルギーを熱として貯めておいて、需要に合わせて電力に変換したりすることができるといいます。

蓄熱発電の実用化に期待 - 化学工業日報

 化学工業日報によると、日本には石灰に粘土鉱物を分散させたカルシウム系蓄熱材があるそうです。蓄熱密度が高く、数千回繰り返し使え、鉄鋼などの加熱炉から出てくる熱を蓄え蒸気として利用すれば燃焼式ボイラーに比べCO2排出量を大幅に減らせるといいます。

 この他にも欧州では、砕いた火山岩を熱して余剰の再エネ電力を保存する手法の開発が進められているそうです。発電する時はその熱によって蒸気タービンを回すそうです。蓄熱材が岩石なのでとても安いのが魅力といいます。

 

 

電気の自給自足、進む分散型電源の整備

 伊藤忠商事系の新電力、アイ・グリッド・ソリューションズが店舗や倉庫の電気を全て再生可能エネルギーで賄えるよう支援するサービスを始めるといいます。

伊藤忠系新電力、再生エネ100%の店舗作り支援: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、空調などの設備交換による省エネに、店舗の屋根に無償で設置する太陽光パネルからの電力供給、店舗の設備に小型端末を取りつけ、人工知能(AI)で予測した発電量をもとに電気の消費量を遠隔制御するそうです。電気が不足するときは蓄電池からまかない、また、店舗内の空調を制御して電力消費を抑えたりして、電気を自給自足するといいます。

 こうした店舗や工場が増え、外部電源に頼らない分散型電源を普及、拡大できれば、大型発電機を使用しての発電量を減らすことができるのかもしれません。

 それでも、国はLNGの確保に躍起になっているようです。それで対応は十分なのでしょうか。

 

「参考文書」

GX実行会議「エネルギーの安定供給の再構築と脱炭素に向けた取り組み」(中部電力)