「日本終了」と警鐘を鳴らす投資家のジム・ロジャース氏が、「月まで届きそうなほどの債務額の増大」、「世界一のスピードで進む少子高齢化」、移民を受け入れない、存在価値が薄れたゾンビ企業を延命させ、規制緩和をしない「保護主義」などが20年後に日本を滅ぼすと言っているといいます。
ジム・ロジャーズ「今から『日本終了』に備えよ」 | 投資 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
どれも難しい問題なのでしょう。特に「移民受け入れ」など「多様性」にかかわる議論は微妙なところであり、なかなか進みそうにありません。
ただ世界が再び「きな臭く」なり、また独りよがりな倫理観をもつ特定の団体と政治が結びついていると聞くと、「多様性」を意識したくなります。
「多様性は組織にあったらいいものではなく、なければ破滅すらすることがある」と、英タイムズ紙のコラムニストで、ベストセラー作家のマシュー・サイド氏が科学的データに基づいて考察しているといいます。
NEWSPICKSによれば、経済予測において、もっと優秀な個人のエコノミストより、チームが出した予測の方が正解率がはるかに高かいという結果になったといいます。
多様性とは、年齢、性別、人種、国籍、宗教、性的指向、障がい、文化など、一人一人が持つ違いのことです。そして多様性がある組織とは、異なるバックグラウンドの人たちが共存できる環境のことです。(出所:NEWSPICKS)
多様性に富んだチームの議論の中では激しい議論になることもありますが、それをきっかけに視野が広がって、より賢明な解決策を導き出せる場合がほとんどだったといいます。
電機大手のNECグループは「ダイバーシティ&インクルージョン」においた経営にシフトしているといいます。
「インクルージョン」を諦めない--NECが進める、成長戦略としての“I&D” - ZDNet Japan
異なる属性やバックグラウンドの人々が互いを受け入れ、力を発揮するのは簡単ではなく、NECにおいても「自分とは違う考えを持つ人もいる」という認識に課題があったといいます。
「同質性が極めて高い組織では、新しいアイデアは生まれにくい」。
ともすると一方向に走ってしまい、コンプライアンス(社会的規範)から逸脱するリスクもある。当社グループがこれからも成長し続けるには、多様な人材がビジネスをドライブすることが不可欠である。(出所:ZDNet Japan)
かつて米国では、「共有」という概念は資本主義の敵である共産主義者のドグマだと考えられていたそうです。しかし、今ではその「共有」という概念のほうが一般化しつつあると山口周氏は指摘しています。
【山口周・特別講義】「長く、マラソン化する人生」最終的に成功した人たちの共通点 | ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式 | ダイヤモンド・オンライン
山口氏の指摘の通り、これまでのアメリカンドリームの体現者は、市場を独占してきたということは事実であろうし、そこに「欲深さ」や「不寛容」などがあったはことは否めないことなのかもしれません。
この先、職業人生は長期的な伸長傾向にあり、ますます「マラソン化」が進むことになるといいます。このような世界にあって、多くの人が組織の境界を越境して働くようになると山口氏はいいます。
個人に対する評価や信用などの社会資本がブロックチェーンなどの技術によって公共空間に蓄積されることになれば、ある個人の評判はすぐにネットワークを通じて他者と共有されることになります。(出所:ダイヤモンドオンライン)
インターネットが登場し、誰もが容易に国境を越えて仕事することができるようになりました。そうした環境の変化があって「シェアリングエコノミー」が急速に普及したのかもしれません。そして、今では様々なサービスが当たり前の利用にされるようになりました。
「シェアリングエコノミー」は共有経済とも訳され。共有の社会関係によって統御される経済を指すといいます。これまでのような「単一」という概念だけでは発想できないことなのかもしれません。
これまでの思考をアップデートして、「独占」から「共有」、「単一」から「多様性」へと、また、不寛容な社会から寛容を重視する社会へと転換をすすめていかなければらないのでしょう。
もうこれ以上、世界の潮流から取り残されることがあってはならないようにも思えますので。