Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

なおざりにされた人権問題、間近に迫る「選ばれない国」

 

 気候変動に、感染症対応、政治の役割がこれまで以上に求められているのに、国会は開かれず、何ごとも閣議決定で決まってしまいます。これでは、どこかの国が大統領令を乱発するのと変わらず、民主主義なのかどうか疑わしいと感じてしまいます。

 国が揺れ、混迷しているかのようです。

 悪習が染みついた政治を見直さない限り、問題は解決されずに、ますます日本が劣化していってしまいそうで、危機感を覚えます。

 

 

 先の内閣改造で法相が替わり、古川禎久氏から葉梨康弘氏になりました。特定の団体との関わりが指摘されている人物です。

 それはさておき、その新法相がJIJI.comのインタビューで、「入管法の改正」や「技能実習・特定技能制度の見直し」などに言及しています。

旧統一教会、現行法で対応 葉梨康弘法相インタビュー:時事ドットコム

 JIJI.comによれば、技能実習・特定技能制度ついて、本当に国際貢献になっているのか、実際には労働力として安易に使っているのではないかといった問題点があると認識しているといい、見直しに前向きといいます。

 まずは人権問題として、また深刻化する人手不足に如何に対応していくのか含めて検討が進むことを期待したいものです。

 何が理由かは定かではありませんが、これまで日本は人権問題に積極的であったとは言い難い状況でした。外国人技能実習制度を見直さなければ、日本が人権弾圧国家に認定されるリスクがあるといいます。

 緊急な課題ということなのでしょう。開かれた議論で、劣化を食い止め、まずは国際標準に近づけていくべきなのでしょう。

先進国に共通する人手不足に、IT化ではなく「奴隷労働」で対処した日本|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 こうした制度自体が国の事業であるだけに、制度を悪用する一部の事業によるものとはいえ、政府は言い訳することはできないはずだといいます。

 国際社会でもたびたび問題視されてきたのは、賃金の未払いや過重労働、劣悪な宿舎など、現代の奴隷労働とみなされかねない重大な人権侵害を行ってきたのが今までといいます。

 

 

 また、半ば違法な労働が横行した結果、国内の賃金は上昇せず、結果として日本人の生活水準が低下の一途をたどったとNewsweekは指摘します。

政府が法律の運用を適切に行えば、最低賃金以下の労働は事実上、不可能となり、人手不足に対処するため、多くの業界においてIT化や自動化が進むだろう。こうした先行投資の増大は国内景気にプラスの効果をもたらし、最終的には企業の生産性向上を通じて賃金の上昇につながる。(出所:Newsweek

 政府が範を示すべきなのでしょうが、そうはならなかったがために、安い賃金で外国人労働者を働かせるという最悪の方法が社会にまん延するようになり、それが日本の低い生産性に影響したといいます。

 記事は、実習制度の見直しが、日本社会がIT化に舵を切る最後のチャンスになると指摘します。

 いずれにせよ、賃金が安く、円安が続けば、日本は選ばれない国になっていくということなのでしょう。そうなればなるほどに、労働力ばかりでなく、頭脳の確保にも苦労することになるのではないでしょうか。

「外国人との共生社会をどう実現するか」、大きなテーマですが、避けられない問題のように感じます。この問題を考えていくうえでも、まずは人権問題からなのでしょう。今、これを論じるにはいい機会なのかもしれません。

 

「参考文書」

斎藤幸平氏「人権軽視の日本人は、そのツケを払うことになる」:日経ビジネス電子版