Up Cycle Circular’s diary

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【経済安全保障に増える課題】ダイキンのサプライチェーンに見直しと技術開発

 

「経済安全保障」、今の国際情勢からすれば避け得ないのでしょうが、そうかといって緊迫化した情勢をそのまま放置することがあってはならないとも感じます。しかし、準備はでき得る限り進めておいた方が良いのかもしれません。

 ダイキン工業が中国製部品が無くてもエアコンが生産できるサプライチェーンを2023年度中に構築するといいます。

供給網づくり大転換 ダイキン「脱中国」の本気度|テレ東BIZ(テレビ東京ビジネスオンデマンド)

 テレ東BIZによれば、省エネなど中核機能にかかわる部品を日本国内で内製化、また取引先にも中国以外での生産を要請したそうです。ダイキンがコスト重視から安定供給に方向転換したといいます。

 

 

 地球温暖化が進めば進むほど、エアコンはなくてはならないものになり、その需要が増していくことになりそうです。一方で、稼働するエアコンが増えれば増えるほど、電力需要が伸びることになり、エアコンのさらなる省エネは欠かすことのできない要求事項になるのでしょうか。

 日経クロステックによると、ダイキンは現在の1000万台超/年の生産台数を、2030年には2000万台以上/年に引き上げるといいます。また、インバーター搭載機の比率も現在の7割からほぼ100%に高めるそうです。

2030年に空調機を2倍以上の2000万台超へ、安定生産に向けたダイキンの秘策 | 日経クロステック(xTECH)

 この計画達成のためには、レアアース半導体の調達が課題になるといいます。

 レアアースは省エネ性能向上のためには欠かせないものですが、その多くは中国に依存しているそうです。このため、モーターなどに使用するネオジム系磁石からその使用量を減らし、2025年までには、空調機全体のレアアースの使用量をゼロにするといいます。

 課題解決にあたっては、レアアースレス化によって性能が落ちる分は、モーター構造の工夫やインバーター制御の効率化で、できる限りカバーするそうです。

 しかし、汎用の半導体ではコンプレッサー圧縮機のきめ細かな制御が難しく、このため、空調機に最適化したアルゴリズムを自社開発し、カスタム半導体を共同開発することで解決するといいます。

ダイキン 半導体を自社開発へ 効率化、安定供給に - 産経ニュース

 産経新聞によれば、この開発にあたっては数十億円規模で段階的に投資を行い、専門人材の採用や育成も進めるといいます。また、半導体の安定供給にもつなげていくそうです。

 

 

 IEA国際エネルギー機関によると、2050年のエアコンによる電力需要は15年比で3倍になると予測されている。(出所:産経新聞

 早急に解決が求められる、さらなるエネルギーの効率化であっても、今では地政学リスク、経済安全保障という課題抜きで考えることでできなくなっていそうです。しかし、その制約が次なる技術開発につながり、その実用化のために供給網サプライチェーンが刷新されていくことになるのでしょう。

 あまり要求事項は増やすべきではないのかもしれませんが、より健全で、ESGに資するサプライチェーンにしていく機会にすべきなのかもしれません。脱炭素はもちろんのこと、循環型社会にも近づていくようなサプライチェーンであって欲しいものです。