カーボンニュートラルを国が宣言して、脱炭素が動き始め、それと同時に気候変動にも関心が集まるようになりました。しかし、この問題が一朝一夕に解決されることはないのでしょう。
気候変動の議論が始まったのは30年前の「地球サミット」からといわれます。ずいぶん遠回りしています。そうしている間に温暖化は進み、異常気象による激甚災害を増加させ、気候危機を感じるようになりました。
しかし、気候変動の問題は、地球環境危機の一面にすぎず、これからは、生物多様性と自然資本の減少問題も視野に入れていかなければならないといいます。
起こり得るビジネスインパクトへの対応 カーボンニュートラルだけではない 今企業が取り組むべき課題とは - New Future | 日経ビジネス電子版 Special
また、生態系の営みと経済活動は、密接に関わっているともいいます。その依存度は世界の総GDPの52%に相当する44兆ドルに達するという試算もあるそうです。
こうした現実から、10年後、20年後のビジネスへのグローバルリスクとして、また新たな事業機会として行動する必要があるといいます。
脱炭素だけではなく、人間によって壊された地球環境を回復しなければならないということなのでしょうか。
自然の土は塊の構造を持っていて、雨が降ってもその塊の間を流れていき、土は簡単に溶け出さないといいます。この「土の塊」は地下の生態系によって作られるそうです。そのためには、土中に根を残すことが大事だといいます。
養老孟司さん、不耕起栽培を語る「1万年続けたことでも、180度違うこと考えていい」:朝日新聞GLOBE+
「人は1万年の間、さんざん土を掘り返し、それが農業だと思ってきた」。
それによって地中の生態系が壊され、さらに環境に悪影響を及ぼしてきたそうです。
植物は勝手に生えているように見えるが、実は地下でつながっていて、生態系としての網の目が地下で成立している。人はそれを耕すことで、一生懸命、壊してきた。生態系の網の目が壊れると雨が降った時に土が流れてしまう。(出所:朝日新聞GLOBE+)
「世界のほとんどの川は茶色く濁っている。表土が流れ込むから」と解剖学者の養老孟司先生が指摘しています。昆虫調査に行った屋久島で専門家から「屋久島では豪雨が降っても川が濁らない」と聞かされたといいます。「人が引っかき回さないと土は流出しない」との記憶が残ったそうです。
「不耕起栽培」に注目が集まるようになったといいます。こうした流れは自然との共生への目覚めだと記事で指摘しています。
いまさら掘り返さない方がよかったと言われると、一瞬あぜんとするが、これは農業に限ったことではない。(出所:朝日新聞GLOBE+)
アシックス(ASICS)が、現時点で温室効果ガス排出量が公表されているスニーカーの中で最小となる「ゲルライトスリーシーエム1.95(GEL-LYTE III CM 1.95)」を発表したそうです。一足あたりの温室効果ガス排出量は1.95kgCO2eといいます。
アシックス、CO2排出量が世界最小のスニーカー開発 カーボンネガティブフォームを使用
アシックスによれば、スニーカーのミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)と中敷にはサトウキビなどを原料とした複数のバイオポリマーが使用され、また、主要なアッパー(甲被)と中敷には、リサイクルポリエステルが使用されているといいます。
この他にも、製造工程における再生可能エネルギーの利用、バイオ燃料を使った輸送や委託先工場でのリサイクル施策などが実施されるそうです。
これからの環境に優しい商品には、様々なバイオ系の素材や燃料が使用されていくことになるということなのでしょうか。それと同時に地球環境、生物多様性への影響を把握、対応しなければならなくなるのでしょう。
バリューチェーンの構造を見直しする必要があるのかもしれません。従来と同じ価値観が通用しなくなるときが近づいているに感じます。
「参考文書」