DXに、GX、トランスフォーメーション流行りです。この先、こうした変革が進んでいくと、人材のミスマッチが生じるといいます。事務職などを中心に余剰となる人が460万人に達し、一方でエッセンシャルワーカーやデジタル人材の不足も深刻化し、その数は440万人に達するという試算があるそうです。
こうした状況から、リスキリングやスキルアップが不可避といわれます。
米アマゾンでは、商品の梱包を含め、業務の自動化に巨額の投資を続けているといいます。この自動化は、労働者にとっての生産性の向上であり、生産性の向上には賃金の向上がともなうといいます。
アマゾンの安全性とスピードの追求と自動化推進は従業員の待遇向上につながる | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
もしアマゾンが仕事を自動化することができれば、より良い、より生産的で、より報酬の高い労働条件を作り出すことができる。(出所:Forbes)
生産性を向上させれば、これまでより少ない人員でのオペレーションが可能になります。それ故、仕事が奪われるというのは決して否定できるものではありません。しかし、アマゾンが扱い高を増やし続ければ、生産性を向上だけではカバーできずに、人員を増やさなければならなくなります。
テクノロジーとオートメーションは、私たちを配給の列には押しやらず、より高い雇用をもたらすというのが、単純な真実だ。なぜなら、それらは仕事の最も難しい側面を人間の仕事から取り除き、人間が最も得意な分野に特化できるようにするからだ。(出所:Forbes)
これがトランスフォーメーションということかもしれません。
アマゾンが労働者なしで運営することを目指しているという人がいるそうですが、記事はこれに反論を試み、トラック輸送のドライバーを例にして、ドライバーが誤りを犯し事故が起こりやすいから、自動運転を視野にして、現在とは異なる輸送の未来に何十億も投資しているといいます。しかし、自動運転が実現できるようになれば、ドライバーという職はなくなってしまうのかもしれません。ただ、自動運転するトラックを遠隔で監視する仕事が新たに登場するのかもしれません。これが人材のミスマッチなのかもしれません。
技術的な進歩がない地域が、待遇の良い機会を最も多く生んでいるということが、世界のどこで、人類の歴史の中で起きたというのだろうか。(出所:Forbe)
同じようなことは飲食店でもあり得るといいます。セルフオーダーシステム導⼊によるウエーターの注⽂業務は軽減され、デジタル化で空いた時間を使って、⼈間ならではのタスクを遂⾏すべきといいます。
「DX は、職業そのものを無くすのではなく、職業のタスク構成を変化させ、AI などの技術を通じて働き⼿に、より⼈と向き合える時間を提供することとなる」と三菱総研も指摘しています。
デジタルスキルを身につけて「DX」の実行者になってもいいのでしょうし、人とのふれあいから見えてくるものを次の改善に活かすのもいいのかもしれません。「改善は無限」といわれ、生産性を向上には終わりはないのかもしれません。トヨタ生産方式やIE(インダストリアルエンジニアリング)などの「改善」スキルを身につけてみてもいいのではないでしょうか。〇Xの推進者になれるはずです。
味の素のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)をForbesが紹介しています。
食料調達の安定に向けSXを推進し、ブランド価値向上を目指す──PwC×味の素対談 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
サステナビリティを追求した活動というのは、社会や環境によいことをするだけでなく、自分たちの企業の中において、未来に稼ぐ力を蓄えていくことです。
未来に稼ぐ力としては、『人材力』『オペレーション力』『創発・技術開発力』『評判形成力』『原材料調達力』『資金調達力』の6つのドライバーがあります。(出所:Forbes)
この6つに関わるものも、これから求められるスキルなのかもしれません。
リスキリングというと、ついついデジタルスキルを身につけることかのように勘違いしてしまいそうですが、そういうことではないということではないでしょうか。
「参考文書」
成果が出ないリスキリングには理由がある、実践して分かったDXの「学びの仕掛け」 | 日経クロステック(xTECH)
DX・GX 時代に対応するキャリアシフトを提言(三菱総合研究所)
2030年人材の余剰460万人? 広がる“生活防衛のリスキリング” | NHK | ビジネス特集