嘘のように日本悲観論が広がっているようです。
驚くばかりの円安の進行、上がらない賃金。インバウンドでは注目されているようですが、日本に目を向けようとしない海外投資家。
何をやってもダメ、ほんとうにこのまま後進国化するのではないかと心配になります。
かつて先進国が衰退していった事例は歴史から知ることはできます。古代文明しかり、中世に栄えたスペインやポルトガルもまたしかり。日本もまたその先例にならって衰退していくのでしょうか。
世界の潮流に従って、SDGsやカーボンニュートラルに取り組んでいるのだから、せめてこの分野くらいは取り残されずに対応できないかと願うばかりです。
しかし、ここでも厳しい現実があるのでしょうか。トヨタ自動車がEV 電気自動車の戦略を修正検討しているといいます。
トヨタ、EV戦略見直し検討 クラウンなど開発一時停止=関係者 | ロイター
ロイターによれば、これまでのEV計画をいったん止めるといいます。プラットフォーム(車台)も見直しの対象に含めているそうです。
想定以上の速度でEV市場が拡大し、専業の米テスラがすでに黒字化を達成する中、より競争力のある車両を開発する必要があると判断した。(出所:ロイター)
見直しを決めれば、EV化への対応が遅いとトヨタを批判してきた一部投資家や環境団体などが求める姿に近づく可能性があるといいます。
トヨタほどの企業でも、時流を見誤り、戦略の見直しを迫れることがあることに少々驚きますが、想定以上に世界の変化のスピードが早いともいえるのかもしれません。
その流れを見落とさず、速やかに対応できれば、被害を最小化できますが、見過ごせば、従来のようにガラパゴス化していくだけなのでしょう。
「そのエコ、本当ですか?」、NHKクローズアップ現代が、企業に実態調査したようです。
「そのエコ、本当ですか?」企業に正面から聞いてみると…… - クローズアップ現代 - NHK
老舗洗剤メーカー サラヤは50年以上も前に、自然由来のパーム油を使用することで環境への負担を抑えようとしたといいます。当時としては画期的なことであり、これが後々常識になっていきます。
一方、2000年代に入ると、パーム油の原料、アブラヤシの原産地のボルネオ島で、熱帯雨林が急速に減少し、ゾウたちがすみかを失っているとの問題が生じます。
「環境にいいもの」、「地球にやさしい」という商品のブランドイメージが崩れてしまうという危機感から「ほかの油を使う道を探る」「改善に取り組む」の選択を迫られたそうです。
パーム油は、生産の効率の良さと安さから、既に多くの企業が使用している状況。自分の会社だけがパーム油の使用をやめたとして、この問題の解決には繋がらない。だったら現地の産業を改善し、森の保全に取り組もうと考えたのです。(出所:NHK)
完璧ということはないのでしょうけれども、その後熱帯雨林の保護活動が定着し始めていきます。
正しい選択をし、それを続ければ、次第に変化が起き、それが世界標準になっていくということでしょうか。ただそれで終わってしまってよいのでしょうか。
緊急回避的に保全活動を行うことは正しい選択なのでしょう。しかし、今の日本においてはそれだけでは不十分なのでしょう。新たな環境にやさしい油脂を求め、その開発に努めるときになってきているのではないでしょうか。
イノベーションとはそういうことから生まれるのではないでしょうか。すぐに答えがでるものではないのでしょうけれども、探求を続けていく必要があるのでしょう。