Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

マーケティングの再定義始まる、消費を促すだけか、それともパーパスを伝えるのか

 

「株主第一主義」のまま抜け出ることができない日本、世界から大きく遅れている「1周遅れの株主資本主義」との意見があります。

 一方、目を転じれば、目まぐるしく変化していく情勢に適合しようと新たな経営スタイルが模索する動きが世界で巻き起こっているようです。現下の状況からすれば、ごく自然ななりゆきのようにも感じます。

 マーケティングを再定義しようとする動きがあるといいます。今日の社会課題に向き合うための議論が活発化しているそうです。

マーケティングは進化できるか SDGsやESGと不可分に: 日本経済新聞

「世の中をより良き方向に導くことがマーケティングの本質」、マーケティングの大家の米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院教授のフィリップ・コトラー氏の持論だそうです。

 

 

 そう主張するコトラー氏のもとに、「コトラー先生は、なぜ平和をもたらすためのマーケティングキャンペーンを行わないのか。次はぜひやってほしい」とメッセージが届いたといいます。

 それゆえのことか、ブログの中で「平和創造活動」という言葉を用い、経済システムを採取型から再生型へと転換させ、コミュニティーの富を築き、制度やリーダー、そして何よりもお互いを信頼する風土を作り出す経済社会の構築を訴えているといいます。

かつてマーケティングアメリカンドリームや、経済的に豊かな社会を主導してきた。しかし多くの人の希望や夢を実現した社会であっても、それに取り残された人たちなどが絶望の淵に立たされている。どこかにマーケティングに欠陥があることに気付き始めているのだ。(出所:日本経済新聞

「国家は深い悩みを抱え、その社会の内と外の両面で重大な問題解決を求めている」と、米国の学術誌「ジャーナル・オブ・マーケティング」が指摘し、「マーケティングの研究の重点は、社会的関連性の問題を解決することに向けられていなかった」と自己批判をしたそうです。

 この論文では「マーケティングが果たす役割についてまだほとんど分かっていない。私たちが研究する成果の範囲を広げ、拡大し、マーケティングの役割をどのように解釈するかを変えない限り、マーケティング研究者は、私たちが直面する最も重要な課題の多くから切り離されてしまう恐れがある」と記しているそうです。

 

 

マーケティングという学問は、商業活動を効率化させる実学」と記事は指摘します。

 そうなのでしょうか。もっと多面的な機能を有し、もともとは自社やその商品をアピールするための手法だったのではないのでしょうか。商品を購入させることだけが目的ではなく、自社が、そしてその商品の何が優れ、お客様の生活にこう役立つと伝えるものであったはずです。

 それが時代変遷とともに進化したのかもしれません。売ることがばかりに一意専心すれば、過剰消費、浪費社会ができあがるのは必然だったのでしょう。

(写真:The Ocean Cleanup)

 多くの企業が存在意義「パーパス」を明らかにし、自分たちの社会における役割を明確にし、何に貢献するかを表明しています。こうした高らかな志を広く社会に問う行為もまたマーケティングの仕事ではないでしょうか。

 そのためには、自社が地球上から消えたら困るのかという本質的な問いを突き詰める厳しさが必要と、あるマーケティングが専門の大学教授が述べているそうです。

「株主の最大化などは二次的な目標にすぎず、環境や社会において必要不可欠な存在であることが最も重要な目標になる」と指摘。「そうしないと持続可能な未来が訪れないという危機感がある」。(出所:日本経済新聞

 

 

 個々の生活者の意識は社会の変化とともに変わり続け、行政や企業もまた変化、進歩し続けていかなければならないはずです。もしかして、マーケティングだけが古いまま取り残されているのかもしれません。自ら進化することが問われいるのではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

【対談】岩井克人 x 孫泰蔵 経済敗戦の要因は「1周遅れの株主資本主義」にあり | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)