Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【COP27】政府の無関心をよそに企業進める脱炭素

 

 COP27が始まりました。初日の会合では「損失と被害」と呼ばれる途上国の被害支援を正式議題とすることが決まったといいます。しかし、早くも先進国と発展途上国の対立が鮮明化したといいます。そんな中、首脳級会合が7日から2日間の日程で開かれるそうです。

COP27、序盤から対立鮮明 途上国、被害支援を要求 | 共同通信

途上国は、先進国の温室効果ガス排出で被害が出ているとして新たな支援を強く要求。先進国は排出削減の強化に新興国などを巻き込む意向をあらわにし、議論が途上国主導の流れになるのをけん制した。(出所:共同通信

 

 

 前政権でカーボンニュートラルが宣言され、グリーン成長戦略が策定され、順調に進むかと思われた脱炭素でしたが、政権が代わったことで、その進捗が見えにくくなったように感じます。

 2030年の目標は実現可能なのでしょうか。

 一方で、大企業を中心にして発せられる情報からすれば、動きが活発化しているように窺え、それになりに成果はあるようにも感じます。EV用の充電設備の設置が進み、また蓄電池ビジネスが拡大するようになり、再生可能エネルギーの拡大もまた然りです。

 他方、太陽光発電の乱開発はいまだ続き、負の側面を伝えるニュースもあるようです。

(写真:岡山県に建設途中の電池工場「Power Base」伊藤忠商事

 伊藤忠商事が、リチウムイオン蓄電池の国内生産を目指すベンチャー「パワーエックス」に出資、業務提携契約を結んで蓄電池ビジネスにおいて協業を進めるといいます。

株式会社パワーエックスとの蓄電池・EV充電分野における業務提携契約締結について|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社

 伊藤忠によれば、パワーエックスは、自然エネルギーの普及拡大に不可欠とされる蓄電池分野において、日本最大級の蓄電池工場を岡山県に建設し、定置用蓄電池や蓄電池併設型超急速EV充電器を大量かつ安価に製造・販売することを進めているといいます。

EVが普及している諸外国と比較して、国内において不足しているEV充電ステーションの普及・拡大を目指しており、従来製品よりもはるかに高速で充電可能となる超急速EV充電器を用いたチャージステーションを2030年までに国内で7,000機普及させることを目指しています。(出所:伊藤忠商事

 

 

 日本最大の火力発電会社「JERA」は、燃焼時に二酸化炭素を排出しないアンモニア火力発電所に動き出し、来年2023年度中にはアンモニアを20%混ぜて運転する低炭素火力を始めるといいます。

 またその拡大に向けて、アンモニアの安定調達へサプライチェーンの構築を急いでいるといいます。これらが実現できれば、「安い発電」も可能になるそうです。

排出ゼロ火力に前進 「安い発電」へ供給網 小野田聡JERA社長: 日本経済新聞

 また、これに並行して再生可能エネルギーの拡大を進め、再エネとゼロエミッション火力の相互補完を目指しているそうです。

 アンモニア製造には課題も多く、懐疑的なところはありますが、エネルギー危機を思えば、選択肢とは否定できないのかもしれません。

 

 

 ウクライナ情勢によりエネルギー危機が生じ、エネルギー価格が恐ろしいほどに高騰しています。また、電力需給が不安定化し停電の可能性が否定できなくなっています。

 政府も唐突な原発の新増設や再稼働など無計画な発言は慎み、現状を正しく分析し、脱炭素と安定供給に加え、安価に提供できる適切なエネルギー計画に適宜アップデートしていく必要があるのではないでしょうか。

 社会環境に変化があればルールを見直すべきです。環境に応じたルールにならなければ、硬直した社会になってしまいます。見直すべきルールや規制が多々あるのではないでしょうか。それらを等閑にしてはならないはずです。そういう潮目になっていないでしょうか。

 

「参考文書」

リユースした電動車用バッテリーで大容量スイープ蓄電システムを構築し、電力系統への接続を含めた運転を開始 | プレスリリース(2022年) | JERA

日本最大級の蓄電池生産を目指す株式会社パワーエックスへの出資について|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社

オリックスなどEV充電5万基設置へ 政府目標の3分の1: 日本経済新聞