米国の中間選挙の結果がまだ確定していませんが、そんな中、バイデン大統領が「COP27」に参加、スピーチするそうです。ことし8月に成立したインフレ抑制法などをアピールするといいます。
トランプ前大統領による「赤い波」が起こらなかったことで米国の気候変動対策に大きな変化はないということなのでしょうか。
米バイデン大統領 COP27でスピーチへ 資金支援の意義強調か | NHK | COP
インフレ抑制法で、気候変動対策が進むことが期待されています。また、これと同時にインフレの減速が期待されているそうです。今後10年間で財政赤字を削減し、それを原資にして「エネルギー安全保障と気候変動」の分野に資金を投じるといわれています。
NHKによれば、「COP27」では、この他、発展途上国の脱炭素を進めるため、大手企業などと連携し新たな資金支援の枠組みを発足させることの意義などを強調する見通しといいます。
円高
選挙もあり、また、米国の消費者物価指数を受けて、金融市場が大きく動いたようです。
ダウ平均株価は1200ドルを超える大幅な値上がりとなり、為替市場では一時、1ドル=140円台前半まで円高が進んだといいます。こうした背景には、FRBによる利上げのペースが減速するとの見方が強まったことがあるといいます。
黒田発言に変化の兆しか
一方で、日本では黒田総裁の発言に微妙の変化があるといいます。
参院財政金融委員会で、「賃金上昇を伴った物価上昇が安定的、持続的に達成される環境は整いつつある」との認識を示し、その上で「来年度以降の賃金上昇率がどうなるかによって、2%の物価目標が達成される時期が近づく可能性がある」と述べたといいます。
JIJI.comによれば、「目標達成が見通せる段階になれば、当然(金融緩和からの)出口の議論をし、適切な金融の正常化も始まる」と指摘したそうです。
ただ、「現時点ではそうした形にはなっていない」とも述べ、当面は現在の大規模な金融緩和を継続する考えを示したといいます。
賃金上昇なるか
また、黒田総裁は、供給超過状態にある需給ギャップについても言及、かなりのスピードで解消しつつあると述べ、近くプラスに転じるとみていると説明したといいます。
利上げは経済にマイナス、デフレマインドに変化の兆し-日銀総裁 - Bloomberg
今後は需給ギャップのプラス転化に伴って労働需給が引き締まり、賃金上昇率も高まっていくとみているそうです。
世界の金融市場で変化があれば、日銀の金融政策にも注目が集まるようです。
「日銀リスク高い」、日本国債格付け判断で最大要素に-S&P - Bloomberg
記事によれば、進み過ぎた円安は、インバウンド需要の回復に貢献し、それが景気回復にも貢献すると指摘、まもなくその効果が現れ始めるといわれます。逆に円高に振れれば、新たなリスクが生じることもあり得るといいます。
この先のドル円の動きが気になります。専門家の見立ての通り、FRBの利上げがペースダウンに向かうことで円が「急速な円高」に戻っていくことはあるのでしょうか。
急減速
スマートフォンやキッチン家電などの手がけるバルミューダの2022年通期の経常利益予想が7.9億円から400万円に引き下げられ、99.5%下方修正すると発表があったといいます。
原因は円安により営業利益が減少していることによるとしているそうです。
バルミューダ、22年通期の経常利益を99%下方修正 7.9億円→400万円に - ITmedia NEWS
記録的な円安で仕入れ原価が上昇、売上原価率が62.6%から68.9%にまで上がる見通しとなり、利益が圧迫したようです。
広告宣伝費を18%削減し、研究費は5割以上、人件費にいたっては前年比2割増の計画を1割に抑制したそうですが、1ドル110円台前半だった想定為替レートが1ドル150円前後まで上昇したことが悪影響となったといいます。
このような状況下で、賃上げが進むのでしょうか。円が多少値を戻して、好転があればよいのですが、それを待つよりは何らかの改革が求められることになりそうです。国内販売が主となるメーカの辛さが顕在化したということでしょうか。
喜べない好成績
一方、自動車業界は歴史的な円安による追い風もあっても、今期の業績見通しを上方修正したそうです。ただ決算会見では各社の幹部から為替相場の安定を求める声が相次いだといいます。
歴史的円安で車各社の上方修正相次ぐ、経営陣は相場安定求める声 - Bloomberg
記事によれば、スズキの鈴木社長は、「もうちょっと円高に振れて安定していただくのが一番」と語り、お客様のお財布の状況が厳しく、いつキャンセルになるのかわからない状況と警戒感を示したそうです。
為替の変動に一喜一憂する状況が続きことになるのでしょうか。やらなければならなかったことを先送りにしたツケが回ってきているだけのことなのかもしれません。
いつになったら、この危機から脱することができるのでしょうか。
まっとうに「サスティナビリティ」を追求し、SDGsなどに取り組めば、すぐさまに効果が出るということはないにしても、状況を改善できるのではないでしょうか。そうならないことが苛立たしくも感じます。いつになったら潮目に変化はあるのでしょうか。
「参考文章」
米国の「インフレ抑制法」は、気候変動対策を加速させる“秘密兵器”になるか | WIRED.jp
米労働生産性、第3四半期0.3%上昇 単位労働コストも上昇続く | ロイター
NYダウ 終値1200ドル超の値上がり 円相場は一時140円台前半に | NHK | 株価・為替