Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

高止まりの米消費者物価指数、揺れる企業業績、今すべきことは何なのか

 

 米国のCPI 消費者物価指数が発表となりました。市場予想よりも下回り、また9月の8.2%から7.7%に減速したことで、インフレがピークアウトした兆しを示しているとし、FRB米連邦準備理事会が利上げペースを落とすのではないかとの憶測から、株価が動き、円も円高に一時振れました。

米CPIが伸び鈍化:識者はこうみる | ロイター

 そうかといっても、一気に状況が好転する訳ではなそうで、インフレが通常の水準に戻るには、まだ時間がかかり、米国の景気後退は未だ否定できず、FRBの利上げは上げ幅こそ調整期待はあるものの、まだ上げ方向にあるとの予測が大方なのでしょうか。

 円高についても、これ以上円が値を戻すことは想定されずに、現状値でもみ合いになる見方が多そうです。

 

 

 企業もこうした経済環境を鑑みて、様々な見直しを始めているようです。

 米アマゾンは、コーポレート社員の採用凍結したばかりでなく、複数の不採算部門の従業員に対し他部署への異動を検討するよう指示し、より収益性の高い分野への配置転換を進めているそうです。そればかりでなく、アレクサ事業も入念に精査しているといいます。

米アマゾン、不採算事業を見直し 「アレクサ」など対象=WSJ | ロイター

 年間50億ドル以上の営業赤字をアレクサを扱う部門が計上していることが理由のようです。

「現在のマクロ環境を考慮し、コストを最適化する機会を検討している」と、アマゾンの広報は述べているそうです。聖域を作らずに事業を最適化するということなのでしょうか。

 日本国内でも企業の業績発表が相次いでいます。円安を追い風にする企業もあれば、涙を飲む企業もあります。様々な要因が絡み合っての企業業績になっているようです。

 楽天グループはモバイル事業が足を引っ張り、2022年1~9月期連結決算の最終損益が2580億円の赤字となったそうです。安さを売りにしたサービス、強力なポイント経済圏があっても契約者数は思い描いた以上には伸びず、苦しい状況になっているようです。

 ソフトバンクGはアリババ株売却で黒字は確保したものの、ビジョンファンドは相変わらずで1兆円超の損失を出したといいます。

孫正義氏、株式市場から退場へ--「投資先は全滅に近い成績」「今後はArmに情熱」 - CNET Japan

 ソフトバンクについては、この他にも暗号資産交換業者FTXの破綻の影響もあるようです。ブルームバーグによると、FTXに対する1億ドル(約141億円)弱の出資分について、そのすべてをゼロと評価して損失を計上することを見込んでいるといいます。

 

 

インフレは当分収まらない。上場株ですらしばらく大変。まして、未上場株は時差があるから当分大変。だから守りを固める。新たな投資はより慎重にし、ビジョンファンドのマネジメント社員の規模も縮小する。(出所:CNET Japan

 かつて名経営者と呼ばれた人たちも今回ばかりは、風を味方に変えることができていないようようです。そろそろ世代交代があってもよいのではないでしょうか。

 もうイケイケゴーゴーではないような気もします。時流にあうように企業文化を調整していくときなのかもしれません。

 ツイッターを440億ドル(約6兆2500億円)で買収イーロン・マスク氏が、初じめて従業員に向けて発言し、より多くのキャッシュフローを生み出し始めない限り、破産の可能性があるとの見解を示したといいます。

ツイッター破産あり得るとマスク氏警告、現金燃焼続けば-関係者 - Bloomberg

ツイッターは130億ドルの負債を抱え、今後12カ月で計12億ドル近くの利払いに直面する。この金額は同社が最近開示した6月末時点のキャッシュフロー(11億ドル)を上回っている。(出所:ロイター)

 マスク氏は買収後、従業員の約半数を解雇し、残った従業員に対しては、リモート勤務を認めないと伝えたといいます。矢継ぎ早に行動を起こすことで、奮起を期待したのでしょうか。マスク氏が辣腕を振るったとしても、結果はスタッフ次第なのでしょう。

 

 

 危機に陥るのはやるべきことをやらないからか、本分を超えて、必要以上に余分なことに手を出して効率が悪化するからではないでしょうか。

 必要最低限の人員で必要最小限の仕事をしていて、事業が回るのが正常なはずです。また、そうできるようにするのが仕事です。

 歯車が正常に回転しているときなら、経済状況にほだされて、事業拡大しても異常にはならないのかもしれません。しかし、一旦歯車が狂いだすと、実力がともなった事業でない限り危機になるのは自然な成り行きなのでしょう。余分なことに手を出して、マネージメント不全に陥れば、仕事も余分に増え、ますます混乱して、どんどん効率が悪化していくだけです。忙しくなるばかりで何も得るものはないのでしょう。基本を忘れてはならないのです。

 ツイッターは今後どうなっていくのでしょうか。注意深く見ていきたいところです。

 

「参考文書」

ソフトバンク、FTX出資で約1億ドルの評価損の可能性-関係者 - Bloomberg

楽天の決算、1~9月最終赤字2580億円 携帯契約の減少続く: 日本経済新聞

ソフトバンクG最終黒字3兆円 7~9月、アリババ株放出で: 日本経済新聞

暗号資産関連銘柄が大幅安、FTX経営破綻で業界に激震 | ロイター

ツイッター「倒産の可能性」、マスク氏が従業員に警告=BBG | ロイター