Up Cycle Circular’s diary

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【エネルギー安全保障と脱炭素】化石燃料需要を低減する実効性ある移行計画が求められている

 

 APEC アジア太平洋経済協力会議の首脳会議がタイのバンコクで、G20サミットに引き続き開催されます。読売新聞によると、持続可能な成長や環境目標の達成をうたう「バンコク目標」を採択する見通しとなったそうです。

【独自】APEC首脳会議、環境目標の達成などうたう「バンコク目標」採択の見通し : 読売新聞オンライン

 APECで環境課題を中心とする包括的な目標をまとめるのは初めてになるといいます。 ロシアによるウクライナ侵攻以来、国際会議での合意形成が困難になっている現実から、成長や環境など各国が賛同しやすいテーマを目標として採択し、存在意義をアピールする狙いがあるといいます。

草案では、〈1〉異常気象や気候変動などの課題への取り組み支援〈2〉環境政策と補完し合う貿易と投資〈3〉天然資源の保全や管理の促進――といった方策を盛り込んだ。(出所:読売新聞)

 こうした気候変動対策から和平への道を模索するのが、現実的なアクションなのかもしれません。難しいことかもしれませんが、あるべき姿のような気もします。

 

 

 ウクライナ侵攻によって生じたエネルギー危機は受け入れがたいことですが、現実的な解を模索しなければならなくなりました。また逆にこうしたことで、温暖化ガス排出実質ゼロをめざす脱炭素社会の実現の機運がより高まってきたともいえそうです。

脱炭素と事業成長を両立 「移行計画」が不可欠に: 日本経済新聞

 記事は、脱炭素をどうやって実現するのかという「移行計画」について株主に賛否を聞く「セイ・オン・クライメート」と呼ぶ仕組みを要請している英国の運用会社の事例を紹介しています。

「確実にネットゼロにつながるものではない懸念がある」との理由から、いくつかの企業の「移行計画」に対して、反対票を投じているそうです。

 その背景には、カーボンニュートラルを宣言する企業が急速に増えていることがあるといいます。見かけ倒しの宣言なら何ら意味を成し得ず、機関投資家などがその実効性が厳しく問うようになったといいます。

出光興産は、2030年までに化石燃料資産を今よりも2割圧縮する計画を公表したそうです。日量約30万バレル相当の原油処理能力を削減するほか、石炭鉱山の生産規模を縮小するそうです。

出光、2030年までに化石燃料資産を2割圧縮-石炭鉱山の生産縮小も - Bloomberg

 オーストラリアに権益を保有する石炭3鉱山に内、2つを終掘させ23年度以降の生産を見込んでいないといいます。主力のボガブライ鉱山についても30年代半ばくらいには減っていくことになると明らかにしたといいます。実需と照らし合わせての対応になるのでしょうが、実効性を高めるためのアクションが求められるのでしょう。

 

 

 インドネシアで開催されたG20サミットに合わせ、世界の経営者が集う会議「B20」が開催されたそうです。

 この会議の「エネルギー・持続可能性・気候」セッションの共同議長を務めた三菱重工は、再エネを推進してきた欧州が「理想的な姿と現実をどう折り合いを付け、解決していくかに議論は動いている」と指摘し、再エネ一辺倒が現実的ではなくなっているといいます。

インタビュー:アジアの脱炭素は段階的に、CO2抑制燃料で火力活用=三菱重社長 | ロイター

 また、アジアの新興国は経済成長に多くの電力を必要とするため、環境に優しい燃料を使った既存発電設備の活用が必要とし、「既存の石炭火力にアンモニアを混焼するのが1つの選択肢」といいます。

 将来的には再エネを拡大するにしても、移行期間は必要でしょうし、そこで水素転用も可能なアンモニアをはさむことは現実的な解なのかもしれません。実際、欧米も将来的に水素を混焼できるガスタービンを購入しようといるといいます。

(資料:JERA)

  脱炭素、強いて言えば、脱化石燃料を多くの国で進めることができれば、ロシア憎しという訳ではありませんが、それだけロシアへの依存度を下げることが可能となります。それによって、その影響力を薄めていくこともできそうです。こうしたことを通してロシアの変化を待てば、和平は近づくのかもしれません。長い時間を要しそうですが、脱炭素も一気に進むことはないので、着実に進めるしかありません。

 脱炭素を緻密に計画し、実行性あるものにできるのであれば、エネルギー安全保障も向上するのでしょう。そのためにはまだやるべきことはまだまだありそうです。