Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

良くならない社会、教養を求める人が増えるワケ

 

 時代が移ろえば、好まれる思考も変化するのでしょうか。ここ最近では「教養」を学ばれる人が増えているといいます。

 ロシアによるウクライナ侵攻、その前にはトランプ前大統領の過激な行動など、これまでには考えれられなかったことが頻発しています。日本でも安倍元首相が銃撃されるという痛ましい事件が起こりました。弱々しくなった日本経済など、それを引き金して色々な問題が露見しています。

 社会が激変している影響があったりするのでしょうか。

「なぜ」と、その理由を知ろうとしたり、「どうすればいいのだろうか」と、対策を考えれば、「教養」が頼りになるということでしょうか。

 

 

「教養」とは辞書によれば、学問、幅広い知識、精神の修養などを通して得られる創造的活力や心の豊かさ、物事に対する理解力を意味し、米国では「liberal arts(リベラルアーツ)」で表現するといいます。

 その語源はラテン語で「自由市民が身につけるべき技術」という意味になるそうです。

はじめに:『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』 | 日経BOOKプラス

 世界の名だたるイノベーターたちも、読書を通じて深い教養を培っているといいます。また、欧米エリート層たちにとってリベラルアーツ教育が必須アイテムになっているそうです。

 知識の幅に当たるものが教養で、幅広い知識は、自分の思考の枠を超え、認識・理解できる世界を広げ、さらに私たちの人生を豊かにしてくれるといいます。しかし教養を「今に生かす」ためには、知識は常にアップデートし続けることも欠かせないといいます。

 

 

 テスラのイーロン・マスク氏やアマゾンを創業したジェフ・ベゾス氏、マイクロソフト創業のビル・ゲイツ氏などは、世界の問題を解決するために役立つ最新の知識をさまざまな本から学び、ビジネスを成功させるために役立つ新しいアイデアやヒントを読書から得ようとしていたといいます。

ゲイツが薦める書籍『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』にあるように、次のイノベーションがどこで起きるか分からない複雑化した世界では、分野を狭い範囲に絞り、専門化された知見を身につけるだけでは活躍しにくくなっています。今の時代は、「『超専門化』した人が成功できる分野は限られており、多くの分野に精通し知識と経験の『幅(レンジ)』のある人のほうが成功しやすい」というのがこの本の主張です。(出所:日経BOOKプラス)

 日本の財界人や知識人たちの思考にも変化があるのでしょうか。

 星野リゾートの星野代表は、最近の財政・金融政策を批判し、「みんなが平穏無事でいること」が目的化している気がしてならないといいます。

今の日本経済にこそ市場の「見えざる手」が必要だ | 特集 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

例えばガソリン価格高騰を抑える補助金大恐慌でもないのに、国家財政に負担をかける補填・軽減策を続けている。一見ガソリン価格は上がらず「政府はよくやっている」となるが、当然弊害も生じる。省エネの工夫や再生可能エネルギーなどのイノベーションの発展を妨げてしまうからだ。(出所:東洋経済オンライン)

 

 

 記事によれば、星野代表は、資本主義やビジネスの競争のあり方について、原点に返るべきと主張し、アダム・スミスの「国富論」を頼りにして、「レッセフェール」の理念で、「国家による統制や干渉を否定し、各個人が自己の利益の最大化を目指すと世の中はよくなる」といいます。

 作家の江上剛氏は、日本の労働生産性が低いのは「無意味な労働」によるものと指摘し、賃上げが進まない理由を「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」という本を引用し、「生産性上昇から得られた利益は、1%の最富裕層、すなわち投資家、企業幹部に流れた」と指摘しています。

日本にあふれる「無意味な労働」、生産性が低いのはこれのせいだ【怒れるガバナンス】:時事ドットコム

 江上氏は、工場で労働生産性を引き上げても、「私が銀行の本部で働いていたような無意味な作業に、その利益が投入され、私は、そのお陰で高給(?)を食(は)んでいた」と自身の経験を明かし、ホワイトカラーのどうでもいい仕事が全体の労働生産性を下げているのだろうといいます。

生産性上昇による利益のかなりの部分がまた、まったく新しい基本的に無意味な専門的管理者の地位、(中略)ーーたいてい同じく無意味な事務職員の一群がともなっているーーをつくりだすために投入されているのである。(出所:JIJI.com)

 

 

 どの主張もあながち間違いではなさそうです。根が深い問題ということなのかもしれません。政府・日銀が政策を転換することは今すぐにはなさそうですし、企業のDXなどの変革が外部コンサル頼りで、ムダばかりで、まだまだ進んでいるとは言い難い状況のようです。

 日本の先行きは暗澹たるものになりそうです。やはり「教養」が求められているということでしょうか。「教養」を深める人が増えればいいのかもしれません。それによって社会の雰囲気が変わってはじめて日本社会が良い方向に向かうのかもしれません。ただ残された時間はあまり長くないようにも感じます。

 

 

(写真:IEの基礎)