Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

原発の新増設、次世代革新炉で、ほんとうに「GX」は進むのだろうか

 

「GX」グリーントランスフォーメーション、温室効果ガスの排出量を削減しようとする世界的な潮流を経済成長の機会ととらえて、排出削減と産業競争力向上の両立を目指す取り組みのことをいいます。

  菅前首相がカーボンニュートラルの実現を2050年までに目指すことを宣言し、また、「もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではない」とし、「積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながる」とも述べていました。

 化石燃料による発電から再生可能エネルギーへの転換が加速し、また世界的に見て高いといわれる電力料金の低廉化につながっていくことを期待しました。またその実現のための諸課題解決が次の成長機会にもなっていくのだろうとの期待感もありました。

 

 

 しかし、政権が変わると方針も変わってしまいます。これまでの政権が原発の再稼働は進めるものの、新増設や建て替えには慎重な態度であったのに対し、岸田首相は積極姿勢に転じ、原発の新増設に向けた検討を指示しました。

 ロシア問題によって生じたエネルギー危機がトリガーとなり、エネルギーの安定供給の確保を理由に、次世代原子炉の開発・建設などについて首相は言及します。

自公、原発活用で温度差にじむ GX提言 - 産経ニュース

 自民、公明両党が「GX:グリーントランスフォーメーション」の提言を首相に提出したそうです。自民党は、「次世代革新炉の開発・建設の方針を明確化」するよう求め、首相も「原子力はしっかり活用していかなければいけない」と応じたといいます。

 年内に「GX実行会議」を開催され、原発活用と脱炭素社会への転換に向けた工程表を決定するといいます。

 政府は突然、いとも簡単に方針転換します。あまりにも急激な方向転換になりそうです。これまで再エネや水素、アンモニアに動き出した企業は、はしごを外されることならないのでしょうか。

 次世代エネルギーの本命と目される水素について、世界各国がその技術開発にしのぎを削っています。しかし、先頭を走っていたはずの日本がまた周回遅れになる懸念があるといいます。

日本の水素戦略、気付けば周回遅れ 技術先行も調達コスト重荷: 日本経済新聞

 記事によれば、液化水素の運搬船やFCV 燃料電池自動車などの実用化は先んじているといいますが、運搬や生産に関わる調達コストの高止まりが国内での普及の妨げになりかねないといい、鉄鋼や電力といった基幹産業の競争力にも影を落とすといいます。

 

 

注目すべきは、水素の製造技術の進化です。グリーン水素由来の合成燃料が未来ではなく、現実になりつつあります。これまでは実現可能性調査レベルといった机上の議論のものが多かったのですが、今はプロトタイプとして実際に建設されるケースが確実に増えています。(出所:日経ビジネス

シーメンスエナジー、日本企業と二人三脚で - 日経ビジネス電子版 Special

 記事は、独シーメンスエナジーの水素の取り組みを紹介しています。

 政府も防衛力強化ばかりにお金と時間をかけるのではなく、これから先の国民生活を真剣に議論しなければならないのはないでしょうか。

 世界が平和であり続ければ、国際協力のもとで脱炭素が進めることができ、気候変動問題の解決を通して、時間が要することになるのかもしれませんが、それがまた世界平和にも貢献するようになっていくのかもしれません。

 国際緊張を高めることに力を注ぐべきではありません。かつて戦争を起こし、原発事故を起こした国の役割があるはずです。

 

「参考文書」

自民、次世代革新炉建設を提言 岸田首相「しっかり活用」:時事ドットコム