Up Cycle Circular’s diary

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物価高騰で苦境の代替肉、なぜイケアは低価格化を実現できるのか

 

 この1年ほどで代替肉ブームが急速にしぼんでいるといいます。インフレの影響で消費者が通常の肉より割高な代替肉の購買意欲を低下させているためといいます。主な原料となっている大豆などの価格高騰で値上がりし、一般的な消費者の手に届きにくいプレミアム商品となっているそうです。

 代替肉の象徴だった米ビヨンド・ミートの時価総額は一時1兆円を超えていましたが、今では1000億円程度まで急落しているそうです。11月の最新の収支報告で、収入が昨年と比べて22.5%低下し、粗利益は約1480万ドル(約20億円)の損失になっているといいます。社員も19%削減したそうです。

業績不振のビヨンド・ミート 代替ステーキで巻き返し目指す | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 業績悪化には経費削減がつきものです。ビヨンド・ミートもまた同様な措置を取っているそうです。また売上増のため、新商品「ビヨンド・ステーキ」を発売し、拡販するそうです。どこまで浸透し、業績改善につながるのでしょうか。

 

 

低価格化で物価高騰に立ち向かうイケアの代替肉

 代替肉にとって逆風が吹く中、イケアの代替肉で作られたミートボール「プラントボール」がヒットし、好調といいます。

[新連載]イケア、執念のサステナブル経営 代替肉に本気のワケ:日経ビジネス電子版

 その要因は2つあり、その1つは価格の安さといいます。日本のイケアでは、「プラントボール」の方が、通常のミートボールより200円安い価格で提供されているそうです。

「一度も食べたことがない人は、従来商品よりプラントボールが高ければ試そうとはしないだろう」と指摘する。実際、プラントベースのアイスクリームやベジドッグの価格は従来品と同等か、安い。インフレ下でも植物由来食品の価格を下げる可能性があるという。(出所:日経ビジネス

 記事によれば、イケアは定説通りに低価格を大量生産で実現しているといいます。

 確実に売れるという感触を確かめたあとに大量生産に乗り出し、サプライヤーと長期契約を交わし、一定の生産量を約束することで設備の稼働率を高め、サプライヤーと一緒になって低価格を実現しているそうです。

 当然その裏に見えない施策や苦労もあるのでしょうが、基本に徹することで低価格が実現し、それによってお客様の満足を得て、好業績になるということでしょうか。

低価格化:環境目標達成のための代替肉拡販

「ミートボール」はイケアの象徴的な商品のひとつといいます。

 この商品の代替品なくして、イケアの環境目標の達成はないとの号令のもと、この代替肉の開発が始まったそうです。

 イケアは2030年までに、「カーボンニュートラル」の一歩先となる温暖化ガスの吸収量が排出量を上回る「クライメートポジティブ」の達成を目標に掲げています。同様の目標を公表している企業は世界で英ユニリーバや米マイクロソフトなど一握りで、日本にはなく、2050年をターゲットとするケースが多いといいます。

 

 

25年までにレストランで提供する主要メニューの50%、持ち帰りパッケージ商品の80%をプラントベースにする」。これがイケアの目標だ。ミートボール関連食品の50%がプラントベースになれば、それを年間5億個以上、生産しなければならない。(出所:日経ビジネス

 代替肉の「プラントボール」はミートボールに比べ二酸化炭素(CO2)の排出量が96%少なく、消費者がこの商品を選ぶとCO2排出量を下げられるといいます。これに対し、通常の肉は、牛や豚などの飼育過程で大量の飼料や水を利用し、多くの温暖化ガスを排出しています。

「クライメートポジティブ」の目標を掲げることが、次の成長のチャンスになるということでしょうか。

 低価格だけではじり貧になってしまいますが、それを逆手に取り、植物由来食品のマーケティングを積極的に進め、世界中の消費者に受け入れられてもらえるよう努力し、世界各地で生産能力を増強し、コストを削減する。難しく捉えず、極めてシンプルに推進してこそ、達成不可能なような目標や持続可能な社会への移行も実現に向かうということでしょうか。